6.カ キ  柿

 

   東アジアが原産とされ、純野生種は日本,中国,朝鮮半島に分布するカキ科の落葉性高木。かきの名は、かがやき又はあかつきの後の短縮されたもので、果皮が赤色に熟するためだといわれる。学名もKAKI。

 

   古くから本州,九州で栽培されるが、甘柿は関東以西に多く、渋柿は各地で栽培されている。かきの名は、「新選姓氏録」(571~585年)に万葉歌人・柿本人麻呂の庭に柿の樹があったと記されているが、果樹としては「本草和名」(918年)が最初と思われる。砂糖が貴重品であったために、自然の果実の甘味を大切にしていた。室町時代に茶菓子として串柿が利用され、江戸時代には品種も増えて改良が行なわれるようになり、明治,大正期には最も生産量の多い果物であった。いまでも1,000種以上といわれるが経済品種は少ない。「柿食えば、鐘がなるなり法隆寺」という句は、正岡子規(1867~1902年)が大和の御所がきを見て、法隆寺の門前の茶店でよんだものである。

 

   19世紀にヨーロッパに伝えられて、今ではアメリカ,フランス,イタリア,スペインなどで栽培されている。また、ニュージーランドではキウイフルーツの補完作物としてかきが作られ、わが国へも5~6月に輸入されている。

栄養としては、ビタミンAを65I.U.(100g中)とCを55~70㎎(みかんで35㎎)含み、ほかにも食物繊維のペクチンや塩分を体外に排出する役割を担うカリウムも豊富である。昔から酔いざましによいといわれるが、これは含有するタンニンの作用によって血液中のアルコールを排出するとともにビタミンCの多いことによる。そして、糖分の中の果糖はスイカと同じように利尿効果がある。葉にはビタミンCがとくに多く昔からカキ茶として利用されている。

 

   2023年の栽培面積は17,500ha,収穫量は186,600t、穫量構成比は、①和歌山20.8%,②奈良14.3%,③福岡8.1%,④岐阜6.5%,⑤愛知5.4%、そして、新潟,長野,福島,愛媛,山形,山梨…と続く。2021年の栽培面積で見ると、渋柿61.0%,甘柿39.0%となっているが、1996年では甘柿48%,渋柿52%だったので逆転をして渋柿のシェアが増えている。2021年の各品種別栽培面積構成比は、①富有23.4%,②刀根とね早生17.6%,③平核ひらたね無なし16.8%,④甲州百目6.9%,⑤松本早生富有5.1%,⑥市田柿3.5%,⑦早生系次郎3.3%,⑧太秋2.4%,⑨西条2.3%,⑩中谷早生1.8%、そして会津身不知,大和百目,三社,葉隠,次郎,愛宕,西村早生,最勝,紀北川上早生,四つ溝,上西早生,早生西条,早秋,勝平, 堂上蜂谷,筆柿,福岡K1号,祇園坊,紀州てまり…と続く。5年前の2016年と比べたときに栽培面積は77.7%と減少、その中で増加しているのは甘柿では秋王,輝太郎,紀州てまり、渋柿では中谷早生,紀北川上早生,四つ溝で、その他はすべて減少している。新品種の秋王,紀州てまり,輝太郎の今後の動向が気にかかります。かき栽培の問題点としては、年により収量の変動が大きいこと、台風による減収が大きいことがあげられる。

選び方と保存    ヘタが青くヘタの部分まで色が回っていること。保存は涼しい所へ。

旬    10~11月。

甘ガキと渋(しぶ)

 

   柿の渋味はタンニン細胞が破れて、シブオールがつばに溶けて渋味をあらわす。甘柿では酵素の作用によって水に溶けないタンニン細胞となり果肉に黒いごまのような斑点ができ渋味を感じなくなる。甘柿には完全甘柿(種に関係なく樹上で脱渋が完了する…伊豆,次郎,富有,御所系など)と、不完全甘柿(種が十分形成されると種の回りにゴマを作り甘柿となるが、不十分だと完熟期になっても渋が抜けない…西村早生,禅寺丸,赤柿など)がある。

 

脱渋(だつじゅう)処理   しぶ抜き

 

   渋柿では、タンニン細胞を凝固させる渋抜きの方法を次にあげる。

①アルコール法…段ボールの中にビニール袋を入れて柿をつめ、果実10㎏に対して35%アルコール80mlを入れ密閉して封印、20℃前後で5~6日で脱渋が完了する。処理のあとすぐ出荷して、市場に着くころに丁度甘くなる。炭酸ガス法に比べて肉質は柔らかい。

②CTSD方式(高濃度炭酸ガス短期間処理)…20~25℃で24時間置いて予措をし、それから炭酸ガス97~100%の中に20~24時間置き、終了後は直ちにガスを抜く。2~6日で脱渋が完了,果肉が硬く果実の日持ちがよいのが特長。

③炭酸ガス法…70~75%のガス濃度で3~5日間常温放置をするもの。脱渋経費が安くアルコール焼けなどの心配がないが、期間中は選果場での集中管理が必要で、出荷最盛期に停滞を生じる。

④樹上脱渋法…着色初期の果実に、固形アルコールを入れたポリエチレンの袋をかけて、樹上で3日間で脱渋される。その後、袋の底を切って果肉の肥大,着色を待って(10~2週間以内)収穫する。果実の日持ちがよいのが特長。

 

和歌山のハウス栽培

 

   和歌山県では1982年ころに開始され、当初は西村早生であったが次第に刀根早生へ移って増加している。一部では12月下旬から開始する早期加温があるが、一般的には1月中~下旬から加温を開始して温度を最高25℃,最低5℃から初めて次第に上げて18~20℃とする。5月下旬に加温を停止して、果実の着色を促進する。収穫は6月下旬から初めて、最盛期は7月上~中旬となる。脱渋は脱渋後の果実軟化を防止するためにエタノールと炭酸ガスを同時処理する方法を採用している。

 

(1) 中谷早生   渋柿

 

   和歌山県の中谷義和氏の園で刀根早生の枝変わりとして1996年に発見され、2003年に登録された。果実はやや小さいが玉揃いはよく、その他の性質は刀根早生に準じる。産地は和歌山、9月上~中旬の出荷が可能であることから、刀根早生集中から出荷の平準化が可能となる。

 

(2) 伊豆   甘柿

 

   農林省農試園芸部で昭和30年,富有と御所を交配して育成し、45年に命名された。果実は180g前後で富有よりやや小さく、果形も富有に似て豊満である。糖度は14~16度と富有と同じ、産地は福岡、熟期は9月下~10月上旬。

 

(3) 刀根早生(とねわせ)  渋柿

 

 奈良県天理市の刀根淑民氏が昭和30年ごろ購入した平核無の苗を育成中に、34年の伊勢湾台風で主枝が破損、これに接ぎ木した平核無がその後早熟であることから昭和55年に登録された。果実は肥大がよく大玉傾向、果皮色は平核無より橙紅色が濃くつやがあり美しい。品質は平核無同様に優れ柔軟多汁で甘くとくに脱渋が容易である、脱渋はCTSD法がよくアルコール法は適さない。熟期は平核無より10日から2週間早い9月中~10月中旬と、早期出荷が可能なため労力分散,作期拡大のため増産されたが、2004年頃より停滞、そして近年は微減となっている。問題として脱渋後の軟化の発生が多いことが課題となっている。

 2021年の栽培面積は2,000haとかき全体の17.6%を占めて、富有に次いでいる。2019年までは富有,平核無そして刀根早生と3番手であった。産地別では、①和歌山63.4%,②奈良17.9%,③新潟9.4%,④山形5.1%となっている。

 

*刀根早生の枝変わりとして紀北川上早生と堀内早生がある。9月上~中旬の出荷が可能であることから、刀根早生集中から出荷の平準化が可能となり増殖されている。産地は和歌山。紀北川上早生は、多汁で糖度が13~14%程度で中谷早生と大差なく良食味。堀内早生は腰が高い果形が特徴で、果汁はやや少ないが糖度は14~15%程度で中谷早生と大差なく良食味。産地は和歌山。

 

(4) 西村早生  甘柿

 

 滋賀県大津市坂本の西村弥蔵氏の園で昭和10年ころ、富有に赤柿の花粉が自然交配した実生で、昭和28年に初結実,35年に登録された。果実は200g前後で早生としては大きく、果形はやや角張って果頂部に四条の溝がある。果肉は粗いが日持ちがよく、糖度は14度くらい、果皮は橙色できれいである。産地は福岡,茨城,岐阜,鹿児島,愛知、熟期は9月下~10月上旬。

(5) 平核無(ひらたねなし)  渋柿

 

 新潟県新津市古田で八珍(はっちん)と呼ばれていたのが原木とみられる。明治20年ころ、鈴木重行氏が新潟の行商人から購入した苗木から発見され、同市の酒井調良氏が普及にあたり、原煕博士によって種がひとつもないこと,果形が偏平なことから明治42年、平核無と命名された。今では渋柿を代表する品種として、和歌山・奈良両県では「種なし柿」,新潟県では「おけさ柿」,山形県では「庄内柿」の銘柄で出荷される。

 

 果実は180g前後で玉揃いが非常によく、脱渋すると果肉は緻密で多汁となり、糖度は18~21度と品質は極上である。。2021

年の栽培面積は1,910haとかき全体の16.8%を占めて富有に次いでいる。産地別では、①山形31.6%,②和歌山18.9%,③新潟18.6%,④山梨10.1%,⑤奈良9.6%,⑥福島5.6%となっている。熟期は10月中~11月上旬。

 

  早生の枝変わりとして「杉田早生」があり、これは新潟県佐渡郡羽茂町で発見され昭和53年に登録された。品質は平核無同様に優れとくに脱渋が容易である。熟期は在来種より10日から2週間早く、9月下~10月上旬。

(6) 市田柿  渋柿

 

 長野県下伊那郡高森町市田の原産で古くから栽培され、果実は100g前後と小さいが果肉は緻密で多汁、甘味が多く品質はよい。干し柿として歩どまりがよいことから栽培が多い。産地は長野、熟期は10月上旬。

 

(7) 松本早生富有  甘柿

 

 京都府河鹿郡志賀郷村の松本豊氏が昭和10年に、自園の富有の枝変わりとして発見,27年に登録された。外見,味はほとんど富有と同じだが、熟期が約2週間早いため、市場への連続出荷,収穫労働力の分散が可能である。産地は福岡,奈良,和歌山、熟期は10月中~下旬。

松本早生富有の枝変わりとして「上西早生」があり、これは奈良県吉野郡西吉野村の上西嘉一氏の園で昭和47年に発見されたもので、昭和61年に登録された。果実は大きく250g前後,果皮の色付きが鮮やかで、品質は富有を上回るものがある。産地は奈良,福岡,和歌山,岐阜,愛媛,茨城、熟期は10月上~中旬。

 

(8) 太秋 (たいしゅう)  甘柿

 

 農林水産省果樹試験場カキ・ブドウ支場が富有にⅡiG-16 (次郎,晩御所及び花御所を祖先とする選抜系統)を交配して育成、1995年に登録された。果実は400g前後と大きい、果肉は非常に軟らかくて果汁が多く、極めて食味が優れている。産地は熊本,福岡,愛媛、熟期は10月中~下旬。

 

(9) 西条  渋柿

 

 広島県広島市西条町の原産で古くから栽培され、果実は150~200g,果形は長円形で断面は方形

である。果肉は緻密で柔らかく甘味が多く品質は良好、これの枝変わりとして早生西条がある。干し柿にも向き、産地は岡山,島根,山口,鳥取,広島、熟期は10月中~下旬。

 

(10) 次郎  甘柿

 

 静岡県周知郡森町の原産で、弘化元年(1844年)に同町の松本次郎吉が、太田川の河原で上流から流れてきた幼木を拾い、植えたのがこの名の起こりとされる。果実は220g前後、偏円で果頂部は平らで条溝がある。果皮は橙紅色で光沢がありきれい、果肉は緻密で糖度は16~18度と富有より強く、品質がよい。産地は愛知,埼玉,静岡,東京,三重,神奈川,高知,愛媛、熟期は10月下~11月上旬。

 

 早生の枝変わりとして「前川早生次郎」があり、これは三重県多気郡多気町の前川唯一氏の園で発見されたもので、昭和33年に登録された。品質は次郎同様に優れ、次郎特有の果頂裂果も少ない。産地は愛知,埼玉,静岡,東京,三重,神奈川,高知、熟期は10月中~下旬。

 2021年の栽培面積は早生系次郎370ha,次郎が130haと両方を足すと500haとかき全体の4.4%を占める。

 

(11) 富有  甘柿

 

 岐阜県本巣郡巣南町の小倉氏の柿を、明治22年以来、福島才治氏が注目して各地の品評会に出品していたが、明治35年に恩田鉄弥氏により命名され優良品種として全国に紹介,普及した。御所柿の改良種と思われる。果実は200~220gだが、大きいのは300g以上になり、豊産性で玉揃いはよい。果形は偏円で、果頂部は豊円、果皮は橙紅色で光沢がありきわめて美しい。果肉はやや緻密で多汁、糖度は14~16度で上品な甘味をもち品質は優れている。

 2021年の栽培面積は2,654haと、かき全体の24.4%を占めてトップとなっている。産地別では、①奈良33.3%,②岐阜16.3%,③和歌山15.01%,④福岡14.8%、そして愛媛,香川,岡山,鳥取,茨城,山梨…となっている。熟期は11月上~中旬。

 早生の枝変わりとして「すなみ,いさはや」があり、前者は岐阜県本巣郡巣南町の杉原作平氏が昭和5年に発見、63年に登録された。果実は大きく330g前後、果皮は光沢があり果肉は緻密で糖度は15~16度。後者は長崎県諫早市日代町の古閑貞之氏が昭和39年に発見、60年に登録された。果実は大きく400g以上、果肉は緻密で糖度は14~15度。両者とも、熟期は約10日早く10月下~11月上旬。

 

(12)  会津身不知(あいづみしらず) 渋柿

 

別名、会津柿,身不知,西念寺ともいわれ、古くから福島県会津地方で栽培されている。果実は180200gで玉揃いがよく、果形は偏円,果頂部はややくぼんで四条の溝がある。果肉は平核無に比べると粗い。東北地方での栽培に適し、干し柿(アンポ柿)にも向く。産地は福島、熟期は10月下~11月上旬。

 

(13) 甲州百目   (こうしゅうひゃくめ) 渋柿

 

  別名、百目,蜂谷,富士(愛媛)ともいわれ、非常に古くからある品種である。果実は大きく300g前後で、長宝珠形をして果頂部はとがっている。果皮は橙紅色で光沢があり非常にきれいだが、脱渋後に黒変や軟化しやすい欠点をもつ。干し柿(アンポ柿)にも向き、産地は福島,宮城,山梨,愛媛,富山、熟期は10月下~11月中旬。2021年の栽培面積は788haとかき全体の6.9%を占めて富有,刀根早生,平核無に次いで4番手となっている。産地別では、①福島58.9%,②山梨15.9%,③宮城15.4%,④愛媛4..8%となっている。

 *富士柿…昭和2年に愛媛県八幡浜市で甲州百目の枝変わりとして発見された。果実は大きく果型が富士山に似ていることから命名され、豊産性で着色が早い。産地は愛媛,岐阜。

 

(14) 愛宕(あたご)  渋柿

 

 愛媛県周桑町の原産で古くから栽培され、果実は180~200gで玉揃いがよく、非常に豊産である。果形は長宝珠形をして、果肉の品質は中くらい。産地は愛媛,徳島,香川,岡山、熟期は11月中~12月上旬で、脱渋後,年末から正月にかけて出荷できることに大きな特長がある。

 

(15) その他  甘柿

 

①筆柿…別名珍宝柿、愛知県幸田町を中心に生産される。果実は細長く筆に形が似る、ヘタの部分が2段にくびれている。産地は愛知,長野、熟期は9月中~10月上旬。

 

②早秋(そうしゅう)…農林水産省果樹試験場カキ・ブドウ支場が伊豆に109-27(興津2号×興津17号)を交配して育成、2000年に登録された。極早生品種として開発されたもので、果実は250g前後,果肉はやや軟らかくて緻密、食味が優れている。産地は福岡,岐阜愛知、熟期は9月下~10月上旬。

 

③輝太郎(きたろう)…鳥取県農林総合研究場園芸試験場が1994年に宗田早生(富有の枝変わり)に安芸津14号(甘秋=富有×興津16号(晩御所×花御所))を交配して育成、2010年に品種登録された。当時、農研機構が育成した安芸津14号は地域別の栽培特性などを調べる試験中で育種などでの使用を禁じていたことがあとでわかり、輝太郎の権利を県と農研機構が共同保有に変更することとなった。果実は300g前後で、タネがなく高糖度である。産地は鳥取、熟期は9月下~10月上旬。

  

④秋王(あきおう)…福岡県農業総合試験場が2001年から、着色がよく生産性の高い完全甘柿の富有に大果で食味の優れる太秋を交配して九倍体のタネがほとんどない品種を育成、2012年に福岡K1号として品種登録された。商標は秋の王様の意で「秋王」とした。果実は350g程度と大果で果皮はきれいな橙赤色で、タネがほとんどない特長を持っています。糖度は18度以上と高くサクサクした食感で果汁が多く食味がよい。産地は福岡、熟期は10月中~11月上旬。

 

⑤陽豊…農林水産省果樹試験場安芸津支場で1967年に富有×次郎を交配して育成、1991年に品種登録された。松本早生富有とほぼ同時期に熟する中生の完全甘ガキで、果実は280g程度,果皮は橙紅色で果肉も同じ。糖度は15-17度で肉質はやや硬く果汁が少ないが、外観良好で豊産性です。産地は岐阜,愛知、熟期は10月下~11月上旬。

 

(16) その他  渋柿

 

①四ツ溝(よつみぞ)…静岡県富士郡愛鷹山麓が原産といわれる。果実は小さく80~130gだが、玉揃いが非常によく豊産で、果肉も緻密で甘味が多く、品質は渋柿の中ではもっとも優れている。産地は静岡,和歌山、熟期は10月中~11月上旬。

 

②大和百目…山梨県の原産で、大正14年に手塚光彰氏が発見,甲州百目の実生か枝変わりとされる。果実は大きく320g前後で、長宝珠形をして熟すると果頂部に黒い条斑ができる。果肉は緻密で多汁、甘味が多く品質はよい。干し柿にも向き、産地は山梨、熟期は10月下~11月上旬。

 

③堂上蜂屋(どうじょうはちや)…別名、蜂屋,堂上ともいわれ、岐阜県美濃加茂市蜂屋町が原産。果実は230~240gで、果形は甲州百目に似る。渋抜きには不適で、干し柿にすると果肉はあめ色となり品質は最高、産地は福島、熟期は10月下~11月中旬。

  

④三社(さんじゃ)…富山県西砺波郡福光町が原産、干し柿として古くから金沢市の三社町地区で取り引きされたことから名前がついた。果実は160~200gで、果形は長円から倒卵形,渋抜きには不適で、干し柿にすると果肉はあめ色となり品質は優れている。産地は富山、熟期は11月上~中旬。

 

⑤最勝(さいしょ)…石川県羽昨市が原産、果実は200g前後の長円形で、果肉は緻密で多汁,甘味が多く品質はよい。干して枯露柿を作り贈答用の需要が多い。産地は石川、熟期は11月中旬。

 

⑥葉隠(はがくし)…福岡県の原産で古くから九州地方で栽培されている、名前は葉が隠れるほど沢山の実がなる事に由来するという。果実は250g前後の円形で玉揃いがよく、果皮はオレンジから熟すにつれ赤みを帯びる。果肉は緻密で多汁,品質はよく、おもに干し柿にされる。産地は熊本,佐賀、熟期は11月中~下旬の晩生種。

 

(17) その他  葉を利用

 

丹麗(たんれい),錦繍(きんしゅう)…紅葉した葉を利用するもの、とくに日本料理の添え物として使われる。果樹試験場安芸津支場で興津2号と15号を交配して甘柿の育成をしていた中の固体で、葉色が橙赤色から濃橙赤色と鮮やかで着色の揃いもよいことから1995年に登録された。採葉時期は丹麗が11月上~中旬,錦繍が11月中旬、果実は食べられるが食味は劣る。