32.リンゴ 林檎 Apple
中央アジア・コーカサスの北方地帯に自生しているバラ科の落葉高木、紀元前にヨーロッパに広がり、旧約聖書創世紀のエデンの園で、禁断の実であるりんごを食べたアダムとイブが、楽園から苦悩多き人間界に追放された話はあまりにも有名である。栽培の歴史は4000年以前と推定されている。6~7世紀ころからヨーロッパ北部で品種改良が行なわれるようになり、クラブ・アップルと呼ばれる野生種と現在の栽培種の中間的なものが作られた。17世紀には、ニュートンがりんごの落ちるのを見て引力を発見したのは有名で、このころから現在の栽培種の基本品種が作り出された。アメリカへは17世紀に移民によってもたらされ、比較的降水量の多い東部地域で実生から紅玉(こうぎょく),国光,デリシャスなどが生まれた。雨の多い日本には、主にアメリカ系が定着していった。
中国には6世紀,さらにわが国でりんごの名が出て来るのは平安時代の中頃(918年)で、これら日本在来のものは和りんご,地(ぢ)りんごと呼ばれ、東北地方に若干残っている程度である。わが国への西洋りんごの公式導入は、明治4年(1871年)に北海道開拓使次官の黒田清隆氏が、アメリカより持ち帰ったことによる。これ以前にも日本に入っていたようであるが、確証がない。りんご王国,青森では当時は藩が廃止されて士族の失業対策として苗木を武士に配った。旧弘前(ひろさき)藩士は農民を指導して育成に取り組み、今では早生種の祝から晩生種のふじまで、また、CA貯蔵されて周年出回る。輸入りんごは1993年にニュージーランド産,94年に米国産が解禁となって、それぞれ翌年からわが国への輸入が始まった。
世界の主要な品種は(中国をのぞく2015年)、①レッドデリシャス18.4%,②ゴールデン・デリシャス14.6%,③ガラ14.0%,④ふじ6.9%,⑤グラニー・スミス5.4%,その他ジョナゴール,アイダレッド,紅玉,ブレバーン,旭…となっている。農研機構では、2001年に「ふじ」の生産量が世界第1位になったと報じている。その後もふじが増加していることは間違いないが、中国の正確な生産量が不明で、加えて生産量が多く、その中でもふじの占める割合が大きいために、世界の中での位置は不明である。
「1日1個のりんごは医者を遠ざける」といわれるように、りんご酸やクエン酸は食欲を増進し、含まれるペクチンや繊維は整腸作用があり、下痢などでお腹の調子が悪い時にすりおろして与えると効果が大きい。りんごをすりおろして食べるモーロア療法は、古くからヨーロッパの民間療法として知られ、便秘に効果がある。1960年代前半の研究ではこのペクチンが総コレステロールを低減すると報告され、心臓病や脳卒中の原因である動脈硬化を予防する。さらに、カリウムが多く含まれているため体内の過剰ナトリウム(塩分)と結合、ナトリウムを尿といっしょに排出し高血圧の予防につながる。切り口が褐変するのはポリフェノール類が酸化酵素により酸化される為で、防ぐには食塩水に浸すとよい。
選び方と保存 軸が太く緑色で全体に色が回って、皮の表面にはりがあり硬く軽くたたくと弾んだ音のするもの。果皮に油あがりのしているものは味ぼけの可能性がある。保存はりんごの生理作用を抑え水分の蒸発を防ぐため、薄めのポリ袋に密閉して冷蔵庫に入れる。冷蔵庫に入りきらない場合は、温度変化の少ない低温多湿の場所にりんごを新聞紙に包んでからポリ袋に入れる。これはりんごの呼吸で出てくる炭酸ガスや水滴を新聞紙が吸収して鮮度を保つ。
旬 9~12月。
和りんご・地りんご
西洋りんごの公式導入は明治4年(1871年)で、これが一般的になると中国から渡来した粒の小さなそれまでの種類は、「和りんご・地(ぢ)りんご」などと呼ばれて区別された。今、わずかに残っているのは長野県飯綱(いいづな)町の「高坂(こうさか)りんご」で、果実は約60g,果皮は赤く果実は直径が4~5cmと小さく、いまのりんごに比べると酸っぱくて甘さが少ない。収穫はお盆前で、善光寺で売られて仏前に供えられていたようです。
りんごの品種更新
明治4年に輸入された紅玉と国光が主要品種となり、約100年間わが国のリンゴ産業を支え、その後、昭和40年代以降スターキング・デリシャスを中心としたデリシャス系品種への転換、さらに50年代に入ってわが国で育成されたふじやつがるに変わってきたことは承知のことである。2024年の栽培面積は33,700ha,収穫量は609,200t、収穫量構成比は、①青森60.8%,②長野17.5%,③岩手6.0%,④山形5.4%,⑤福島3.2%,⑥秋田3.1%、そして北海道,群馬,宮城,広島,岐阜…と続く。2023年の品種別栽培面積構成比は、①ふじ47.3,②つがる10.4%,③王林7.3%,④ジョナゴールド6.7%,⑤シナノスイート3.4%,⑥シナノゴールド2.7%,⑦秋映1.7%,⑧弘前ふじ1.6%,⑨北斗1.6%,⑩むつ1.3%,⑪トキ1.3%、そして、紅玉,宮美ふじ,三島ふじ,ぐんま名月,コスモふじ,昂林,きおう,やたか,金星, シナノリップ,2001年,はるか,こうとく,千秋,デリシャス系,世界一,陽光,岩手7号(紅いわて),さんさ,未希ライフ,ひらかつがる,シナノドルチェ,秋陽,極きわめふじ,秋田紅あかり,ほのか,涼香の季節,百年ふじ,高野1号(紅ロマン),あかね,レッドゴールド,ハックナイン,大紅栄,もりのかがやき…と続く。こうした結果、問題として早生種ではつがる、中生種ではジョナゴールド、晩生種ではふじへの片寄りが出ていることがあげられる。5年前の2018年と比べたときに栽培面積は92.1%と減少、裁倍面積が増加しているのはシナノスイート,シナノゴールド,秋映,弘前ふじ,トキ,宮美ふじ,三島ふじ,ぐんま名月,コスモふじ,シナノリップ,はるか,こうとく,岩手7号(紅いわて),こまちふじ,ひらかつがる, 極きわめふじ,ほのか,百年ふじなどで、多くの新品種の登場で今後の増殖が期待されると共に注視をしていきたい。
流通面からは、第1に味がよいこと、もちろん味といっても糖度,酸度,果汁,芳香など諸種の要因が関連する。第2に貯蔵力があることで、これは大量生産,大量販売を円滑にすすめる。第3は多様化を求める消費者の嗜好に合致すること。
台木とわい化栽培
りんごは、実生みしょう(種子をまいて育てる方法)だと親と異なった性質となるため、繁殖は種子によらず同系統のマルバカイドウを台木としてつぎ木をするのが普通である。わい化栽培とはこの台木に、M26,M9といったわい性台木を使うもので、2023年のわい化栽培面積は全りんご面積の31.8%を占める。その中でM26(樹高は3~3,5m,ちなみにマルバカイドウの台木の樹高は4,8~5,4m)が57.8%,M9(樹高は2,5~3m)が11.9%、残りをJM7,M9ナガノ,M9丸葉つきなどで占める(頭のMは育成したイギリスのイースト・モーリング試験場East MallingのMを付けたもの、MMはイギリスのマートンMertonのジョン・インネス試験場とイースト・モーリング試験場の共同研究によるもので両者のMを付けた)。
長所として、樹が小さいのでせん定,摘果,収穫などの作業がしやすい、結果年令に達するのが早い、着色が優れているなど。短所として樹が小さいので雪害を受けやすい、更新するのに多額の経費を必要とするなど。品種はつぎ木をするので、どの品種でも可能である。
無袋(むたい)栽培
りんごの袋かけは明治24年ころ岩手県で、シンクイムシ対策として開発されたわが国独特の技術である。シンクイムシは発生予防や農薬の進歩によって防がれるようになり、昭和19年ごろから無袋栽培運動が始まった。
袋をかけずに太陽の光をいっぱいに浴びせて育てる無袋栽培の方が、袋かけ,除袋といった労力が削減され、糖度が増して酸味とのバランスがとれてうまいりんごとなる。ただ、青森では無袋栽培が低いが、これは後期販売に重点をおくために無袋にすると貯蔵性の劣る問題がある。加えて、まだまだ外観のきれいなりんごが高級品として販売される為に無袋が増加しづらい要因となっている。以前は袋を掛ける方が一般的だったので、袋を掛けない無袋ものを「サン○○」と名付けて差別化をした。「ふじ」の場合は、有袋を「ふじ」、無袋を「サンふじ」と呼び、「つがる」の場合も同様である。但し、王林は全てが無袋である。
CA貯蔵 Controlled atmosphere storage
果物は収穫後でも絶えず呼吸をしており、この呼吸によって果物の中に貯えられている成分が使われ貯蔵力が失われる。この呼吸作用を押さえるには、果実を低温に保つこと、果実の周囲の酸素の量を減らすこと、炭酸ガスを増やすことの3つがある。これまでは果実を低温に保つ冷蔵法(0~1℃)が長期貯蔵に大きな役割を果たしてきた、しかし果実の貯蔵期間をさらに延ばす為に、これら3つを組み合わせたCA貯蔵が行なわれている。普通の空気中には酸素21%,窒素78%,炭酸ガス0.03%,その他となっている。これを酸素2%,窒素96%,炭酸ガス2%として、さらに冷蔵貯蔵するもので、これによりりんごの呼吸作用を押さえて変質させずに貯え、獲りたてそのままの鮮度を保つ方法。この技術はイギリスのフランクリン・キッドによって1920年代に開発されたものである。
主力産地の青森県では昭和35年にCA貯蔵庫が建設されたが、「国光」では効果が現れずに本格的な実用化は昭和50年代後半の「ふじ」からである。1990年代以降は貯蔵性の劣るサンふじが増加するとともに、CA貯蔵も増えている。
ゴム類似症 (内部褐変)
デリシャス系(スターキング・デリシャス,ゴールデン・デリシャス)と紅玉に多く、貯蔵後期に果心部を中心として褐変する障害で、通称アンコと呼ばれる。カルシウム含有量の低い果実や蜜病の進んだものに現われ、とくに収穫時期の遅れた果実,大きい果実,着色良好果に多い。
みつ入りりんご
光合成の産物であるソルビト-ル(糖アルコ-ル)が葉から果実に大量に運ばれると果実の維管束(水や栄養の流れる通路)から溢(あふ)れて、いつもは空気のつまっている細胞のすき間にたまり、わずかな浸透圧の高まりで水を集め果肉の一部が水浸状=みつ(黄色い水っぽい状態)を呈するもの。糖度は周囲の果肉の糖度より、2~3度低い。それでも「みつ」の入ったりんごがおいしいと言われるのは、「みつ」の入るまでりんごの木にならせておくことで、実の中にでん粉が変化した糖分がたくさん蓄えられるため。ただし、「みつ」が入りすぎると過熟状態になり貯蔵には弱い。お尻の凹んだ部分を見て、緑味が抜けて蜂蜜色をしており、更に持ってみてずっしり重く感じる果実は完熟しており、「みつ」が入っていることが多く、ふじや王林に入りやすい。
油上がりの発生
果皮が油っぽくなってべとつく原因は、成熟過程で分泌されるリノール酸とオレイン酸が皮に含まれているノナコ酸やメリシン酸などの固形物質を溶かして生じる。収穫が遅れたり貯蔵後期のものに発生しやすく、品種ではつがる,ジョナゴールド,千秋にでやすい。一方でこの成分は、果実の表面を覆うことで細菌の侵入を防いだり、水分の調節、香りを保つ働きもしている。
葉とらずりんご 見栄えは悪いが味はよい
りんごの栽培管理のなかで「葉摘(はつ)み」,「玉まわし」というのがあり、これはりんごの上にかぶさっている葉や周囲の葉を摘み取って光を十分に当たるようにして、着色むらをなくすために果実の向きを変えること。これによってりんごに葉の陰を作らず表面がきれいに仕上がる、この作業をやめたのが葉とらずりんごで、労力の節減と共に葉が光合成で作る養分を果実に回すことによって味がよくなる。
プロシアニジンと機能性
プロシアニジンはりんごのポリフェノールの約60%を占める成分で、りんご以外にもカカオや黒大豆,シナモン,グレープシードなどの食品に多く含まれている。りんごの切り口が茶色く変色するのは、ポリフェノールが多く含まれているためであり、果肉が酸化しないようプロシアニジンが果肉を保護することで変色をする。プロシアニジンは,1990年代になってようやくサンプルが得られるようになってその機能性に注目が高まるようになったもので、今後のより詳細な科学的検証が求められる。次のような機能性があげられている。①抗酸化作用…活性酸素によってDNAが損傷するのを抑制する。②薬物代謝促進…環境汚染物質などによる細胞損傷や炎症を抑制する。③肝臓の保護…炎症や障害に対して保護あるいは改善作用をする。④糖代謝促進…高血糖の予防改善を含めた健康の維持増進に効果がある。⑤脂質代謝促進…脂肪蓄積の予防。⑥消化酵素への作用。
りんごの歌
いくつかの童謡,歌謡曲が歌われている。
①「りんごのひとりごと」昭和14年に詩が作られ、昭和14年2月にレコード発売された。武内俊子作詞,河村光陽作曲/武内俊子が入院しているとき、お見舞いのりんごを見て詩が作られた。…私は真赤(まっか)な りんごです、お国は寒い 北の国、りんご畑の 晴れた日に、箱につめられ 汽車ポッポ、町の市場(いちば)へ つきました、りんご りんご りんご、りんご 可愛い ひとりごと…
②「リンゴの唄」(サトウハチロー作詞)、 1945(昭和20)年の戦後第1作の映画「そよかぜ」の主題歌として、主演の並木路子が歌ってヒット。敗戦直後の荒(すさ)んだ気持ちに明るさと希望を与えた唄でもあった。…赤いりんごに 唇寄せて、黙って見ている 青い空、りんごはなんにも言わないけれど、りんごの気持ちは よくわかる、りんご可愛いや 可愛いやりんご…
③「りんご追分」、1952(昭和27)年に封切りされた映画「りんご園の少女」の挿入歌で美空ひばりが歌った。ひばりを代表する曲であり、また同時に日本歌謡史にも大きな足跡を残す名曲でもある。もともとは、同年4月に始まったラジオドラマの放送の主題歌であったが、放送1カ月後にレコードが発売されるや爆発的なヒットで、70万枚と言う当時の新記録を打ち立てたのである、そして映画化の話が起こり同年11月に映画が封切られた。…りんごの花びらが風に散ったよな、月夜に月夜に…
(1) シナノリップ
長野県農業関係試験場が2000年に千秋にシナノレッドを交配して、その実生の中から選抜,2018年に品種登録された。果実は300g程度で扁円形、ほぼ全面に紫紅色に着色し糖度14~15度とほどよい甘味と酸味があり濃厚な食味である。気温が高い時期でも赤く着色しやすく、早生種としては日持ちがよい。産地は長野、熟期は8月中~下旬。
*りんごと高温障害…気候変動の影響はいろんな所にあらわれている。日焼け果,着色不良・着色遅延,内部褐変やつる割れなどの多発,虫害の多発,凍 霜害,発芽・開花期の前進等が認められている。対策①高温条件でも着色良好な「シナノリップ」が長野で拡大。②青森では、りんごからももへ改植する動きも有る。作業資材を共用できることや台風による落果のリスクを避ける狙いもある。
(2) 未希ライフ
青森県弘前市の工藤清一氏が昭和56年、千秋につがるを交配して育成、1992年に登録された。名前の由来は昭和61年に放映されたNHKの大河ドラマ「いのち」の主人公の名前と「リンゴの未来に希望を」との願いが込められている。果実は260g前後,果皮は濃赤色。果肉は黄白色で酸味はつがるよりあるが甘酸適和をしており多汁で食味はよい。糖度は13度、産地は青森、熟期は8月下旬。
(3) さんさ
果樹試験場盛岡支場がニュージーランド科学産業研究所との共同研究によって、ガラにあかねを交配して育成、昭和61年に登録された。果実は全面鮮紅色で外観が美しい、果肉は緻密で多汁,甘酸適和して食味がよい。また、豊産で日持ちもよい。産地は岩手,青森、熟期は青森で9月上・中旬。
(4) きおう 黄王
岩手県園芸試験場が昭和56年、王林にはつあき(花粉)を交配して育成、1991年に登録された。近年の遺伝子分析の結果、花粉親は千秋であると言われるようになった。果実は300g前後で果皮は黄色,果肉は歯ざわりがよく糖度は14度、多汁でさわやかな風味を持ち日持ちがよい。産地は青森,岩手、熟期は9月上~下旬。
(5) つがる
青森県りんご試験場が昭和5年、ゴールデン・デリシャスに紅玉を交配して育成、50年に登録された。長い年月ゴールデン・デリシャス×不明であったが、遺伝子分析(原田竹雄博士がDNAフィンガープリント法で探した)の結果、ゴールデン・デリシャス×紅玉と認められた。
果実は250~300gで、果皮は有袋では淡紅,黄緑色に着色するが、赤の着色がむずかしく表皮に縞が出やすい。果肉は緻密で多汁,微酸で甘味が多く、9月のりんごとしては他の品種にみられない食味を持っている。欠点としては、気温が高いと軟化が早く表皮に油があがりやすい、さびが出やすいことがある。2023年の栽培面積は4,110haでりんご全体の11.9%を占めて2番手となっている。収穫量は65,800tで収穫量構成比は、①青森55.8%,②長野26.4%、そして山形,岩手,北海道,福島,群馬,山梨…と続く。長野の熟期は8月下~9月上旬だが、わい性台木を使うとこれより約10日早くなる。青森では9月中~下旬,貯蔵力は約1カ月。
(6) 千秋(せんしゅう)
秋田県果樹試験場が昭和41年、東光にふじを交配して育成、55年に登録された。果肉は緻密で多汁、適度な酸味があり、品質がすぐれている。欠点として果皮が薄いことから裂果が多く着色が難しい。産地は青森,山形,岩手、熟期は9月下~10月上旬。
(7) シナノスイート
長野県果樹試験場が昭和53年、ふじにつがるを交配して育成、1996年に登録された。一時「あじぴか」と販売されたことがあり、食味の評判がよく近年生産量が増えている。果実は350g前後と大きく果皮は赤色で縞模様がある。果肉は黄白色で甘く多汁で酸味は少ない、貯蔵は室温で2週間,冷蔵で2カ月程度。糖度は14~15度、産地は長野,青森,山形,秋田で、寒冷地の方が着色が優れている。熟期は9月下~10月上旬。
(8) シナノゴールド
長野県果樹試験場が昭和58年、ゴールデン・デリシャスに千秋を交配して育成、1998年に登録された。果実は300g前後で形は長円、果皮は黄色で、果肉は黄白色で多汁である。糖度は14~15
度、日持ちは室温で3週間程度,冷蔵で3カ月程度と良好、産地は青森,長野,岩手,山形,寒冷地では酸味が強い、熟期は9月下~10月上旬。
(9) 秋映 あきばえ
長野県中野市の小田切健男氏が昭和56年、千秋につがるを交配して育成、1993年に登録された。果実は300g前後,果皮は濃紅色で着色が濃すぎる嫌いがある。果肉は黄白色で甘く多汁である。糖度は14度、産地は長野、熟期は9月下~10月上旬。
(10) 紅いわて (岩手7号)
岩手県が1991年につがるに不明を交配して、その実生の中から選抜,2009 年に品種登録された。2009年に遺伝子分析の結果、交配のもう片方の親がプリシラと判明した。2012年に岩手県が紅べにいわてと商標登録をした。果実は250~300g前後で円形,果肉は白色,果皮は濃紅色から暗紅色で全面に着色,糖度は13~14度と食味良好である。岩手7号は剥皮後の変色が少ない。日持ちは普通冷蔵で約1カ月、常温で10日程度。産地は岩手、熟期は9月下~10月中旬。
(11) スターキングデリシャス Starking delicious
アメリカ,ニュージャージー州のレービス・ムード氏の果樹園のデリシャスが枝変わりしたもので、1921年に発見され、苗木商・スターク商会が発見者に6,000ドルを支払って買ったといわれる有名品種。わが国へは昭和4年、青森県りんご試験場が苗木を購入したのが始まりで、40年ころから品種改良の先兵として、ふじ,むつなどと共に増産された。
果実は250~300g,果皮は全面濃暗紅色で暗紅の縞状を描く、花粉が多く光沢は強い。果肉はやや緻密,果汁が多く芳香があり品質はよいが、ボケやすい欠点がある。産地は青森,北海道、熟期は青森で10月上~中旬,CA貯蔵で4月まで貯蔵可能。
(12) トキ
青森県五所川原市の土岐伝四郎氏が昭和60年、王林と紅月を交配して育成、2004年に登録された。しかし、DNA鑑定の結果、王林とふじの交配に訂正された。果実は300~350g、果皮は浅黄色でほんのりと朱鷺(とき)色(鳥の朱鷺が羽を広げたときの色合い・名前の由来でもある)が色付いている。果肉は淡い黄色、果汁が多く、甘酸適和して食味はよい。産地は青森、熟期は10月上~中旬。
(13) 陽光 (ようこう)
群馬県園芸試験場北部分場が昭和37年、ゴールデン・デリシャスの自然交雑実生を播種して育成,56年に登録された。果実は300~350g,果皮は鮮紅色から濃紅色の光沢のある明るい着色で縞は明瞭、果肉はややあらいが多汁で糖度は15度前後、甘酸適和して食味はよい。産地は群馬,福島,長野,山形、熟期は青森で10月中~下旬。
(14) 世界一
青森県りんご試験場で昭和5年、デリシャスにゴールデン・デリシャスを交配して育成された。名前のとおり、りんごの大きさでは世界一で果実は500~800g,大きいものは1㎏にもなる。果肉は多汁で酸味が少なく香りがあるが、欠点として果色が薄い,日持ちが悪い,大果にすると味が落ちる。産地は青森、熟期は10月中旬。
(15) 紅玉 Jonathan
アメリカ,ニューヨーク州のフィリップ・リック氏の園で、エソパス・スピツェンブルグの偶発実生として発見された。ジョナサン氏が種子と苗木を配って普及につとめたので、彼の名前を付けた。わが国へは明治4年に輸入され、当初は満紅(まんこう)と名付けられ、のち紅玉(こうぎょく)に統一された。北海道では苗木の輸入番号から6号,青森では千成(せんなり)とも呼ばれる。
果実は200g前後で形はまるくよく整い、果皮は満面鮮紅色、一番りんごらしく「赤いりんごにくちびる寄せて…」と歌に歌われるゆえんである。果汁が多く甘酸適和して特有の芳香があり、緻密で酸味もあり品質は最上級である。加工に適し、焼きりんごやアップルパイ,フルーツサラダなどに向く。産地は青森,長野,山形、熟期は青森で10月中旬。
(16) ジョナゴールド Jona gold
アメリカ,ニューヨーク州農事試験場で1943年、ゴールデン・デリシャスに紅玉を交配して育成,1968年に登録された。果実は250~300g,果皮は黄色に縞状に赤が入る。果肉は硬く,果汁が多く甘酸っぱい。欠点として果面に油があがりやすく、冷蔵から出したあとの軟化が早い。2023年の栽培面積は2,290ha,収穫量は37,000t、収穫量構成比は、①青森84.6%,②岩手12.0%、そして福島,北海道,宮城…と続く。無袋栽培が可能で、熟期は青森で10月中~下旬。
(17) 北斗 (ほくと)
青森県りんご試験場が昭和45年、ふじにむつを交配して育成,58年に登録された。その後の遺伝子診断では、むつではなくレロ11と同じ交配親を持つりんごと思われている。果実は350g前後で無袋が可能、果皮は黄色地に紅色の縞が入りふじより光沢がある。果肉は硬く緻密で多汁、酸味が少なく甘味,芳香があり、食味は抜群の評価を得て一時は増産されたが、着色,日持ちの不良などから減少している。産地は青森、熟期は青森で10月下旬。
*レロ11=東光(ゴールデンデリシャス×インド)×リチャードデリシャス(デリシャス)
(18) むつ 陸奥
青森県りんご試験場で昭和5年、ゴールデン・デリシャスにインドを交配して育成、24年に登録された。イギリスではクリスピンと名付けられ、無袋で増殖されている。果実は大きく450~600g,果皮は無袋では黄緑色、果肉は果汁が多く芳香があり品質はよい、とくに貯蔵して2~3月ごろが芳香が増して一層食味がよい。昭和37年ころに、長野県で三重にした着色袋が開発され、これを使うと果皮がピンク色に着色し、贈答,盛りかご用の需要が多い。このためには徹底した集約栽培が必要である。産地は青森、熟期は10月下~11月上旬,CA貯蔵で7月まで貯蔵可能。
(19) ふ じ
農林省園試東北支場が昭和14年,青森県の藤崎で、国光にデリシャスを交配して育成、37年にふじ(藤崎の藤をとる)と登録された。果実は300g前後,果皮は国光の流れを受けるしま模様と紅色の色合いで、果肉は硬く果汁が多く甘味強く微酸で品質はよい。味のよい無袋栽培ができるが、欠点としては貯蔵末期の4~5月ころの食味が淡泊なことと果皮の着色が今ひとつ思わしくないこと。収穫時期が遅過ぎると果肉に蜜が出やすく、長期貯蔵により内部褐変となり品質が低下する。但し、早期販売には有利で、ふじの無袋で有名な山形県の朝日町では、完熟蜜入りとして採集後すぐの販売に徹して好評を得ている。
2023年の栽培面積は17,500haでりんご全体の50.6%を占めてトップとなっている。収穫量は306,900tで収穫量構成比は、①青森59.4%,②長野18.7%、そして山形,岩手,福島,秋田…と続く。熟期は10月下旬~11月中旬,CA貯蔵で翌年7月まで貯蔵可能。
近年、早生ふじといわれる枝変わりから選抜された早熟系や、ふじと同じ熟期または遅い熟期の着色系枝変わりの品種が増殖されている。農水省の特産果樹生産動態等調査では栽培面積がわかるものの、その品名が正しく市場に出荷されているのか、そしてスーパーなどの販売時点ではどうなのかという疑問があります。そこで、ふじの他に早生ふじと着色系枝変わりとしてまとめました。
これらの栽培面積を合計すると2,409haとなり、ふじと合わせた構成比はりんご全体の54.6%となる。
早生ふじ
①昴林こうりん…山形県天童市の民間育成の品種で遺伝子診断の結果、ふじの早熟系枝変わりと思われる。果実は350g前後と大きく,果実全体に縞状に明るい紅色に着色する。果肉は多汁で緻密、硬く蜜が少し入る。甘酸適和して食味は大変よい。2023年の栽培面積は309ha、産地は山形,青森,秋田,北海道、熟期は山形で9月中~下旬。
②ほのか…青森県平川市広船の景幸園の外川鐡彌氏が、2000年代初めにひろさきふじの枝変わりの大玉・着色系を選抜した品種。果実は普通で350~450gだが、大きいものは500gを超える。果形は長円形で、果皮は全体が濃赤色で縞はあまり目立たず果実表面が滑らかで美しい。果肉は黄白色で硬く、果汁が多く、糖度は15度を超えて食味に優れる。2023年の栽培面積は43ha、産地は青森、熟期は9月下~10月上旬。
③涼香りょうかの季節…山形県南陽市の船中和孝氏が1981年、自園のふじとスターキングの混植園で発見した偶発実生で、種苗会社が1999年に品種登録をした。のちにDNA鑑定の結果、ふじの枝変わりか、あるいはアポミクシス(受精をともなわない種子生産)によって生じた可能性が高い。果実の大きさは350~400gと大玉で、全面に赤色に着色しやすく、果汁が多く甘酸適和している。2023年の栽培面積は39ha、産地は青森,山形、熟期は9月下~10月上旬。
④紅将軍…山形県東根市の矢萩良蔵氏がふじの枝変わりで生まれた早生ふじ「やたか」の枝変わりとして育成した。果皮は濃赤色で果実は350~450gの円形。2023年の栽培面積は19ha、熟期は9月下旬~10月下旬。
⑤百年ふじ…「ふじ」より1ヶ月ほど早く収穫される、大玉の早生ふじで甘味と酸味が調和している。2023年の栽培面積は38ha。
⑥やたか…秋田県平賀郡増田町の平良木忠男氏が昭和57年、自園のふじの早熟系枝変わりとして発見、62年に登録された。果実は300~400g,果肉は多汁で繊維が少なく食味がよいが、ふじに比べるとやや柔らかく貯蔵性が短い。2023年の栽培面積は167ha、産地は秋田,青森。
⑦弘前ふじ…青森県弘前市鬼沢の大鰐勝四郎氏が昭和59年、自園のふじの早熟系枝変わりとして発見。果形はふじに似ているがより円形で果色は濃赤色、色が濃くなると縞が不明瞭になる。果重は300~350g,果肉は多汁で甘く食味がよいが、ふじに比べるとやや柔らかく酸味が少ない。2023年の栽培面積は519ha、産地は青森、熟期は10月上~中旬。
⑧相伝そうでんふじ…山形県朝日町常盤の阿部寿幸氏園で自園のふじの早熟系枝変わりとして発見され、選
抜,育成された早生ふじ。果実は350果形は長円形、果皮は紅色で濃紅の縞状に着色。果肉は緻密で硬く多汁、甘みと酸味のバランスがよく食味がよく、また密入がよい。2023年の栽培面積は26ha、産地は山形、熟期は10月上旬~中旬
着色系枝変わりのふじ
①極きわめふじ…秋田県平鹿郡十文字町の菅原氏がふじより選抜育成した着色系。果実は350g位と大きく、果形は長円形で果皮は無袋で気温が高い時期でも果実全体に濃紅の縞状に着色する。肉質は緻密で硬く多汁で、蜜入が多いことから食味がよい。2023年の栽培面積は52ha、産地は山形、熟期は10月下旬。
②駒ふじ…2023年の栽培面積は12ha。
③こまちふじ…みしまふじから着色が優れているものを選抜した品種です。果実は300~350gで甘みと酸味のバランスが取れている。2023年の栽培面積は67ha。
④恋ふじ…2023年の栽培面積は8ha、岩手県一関市でふじの枝変わりとして発券され、2008年に登録された。
⑤三島ふじ…秋田県平鹿町三島の佐々木良成氏の園で、ふじの着色系枝変わりとして発見され、「秋ふ47」と呼ばれた。三島ふじとして発表されたが苗木業者によって、2001年,こまちふじ,らくらくふじ,ふじロイヤル,みやまふじ,いちふじなどと呼ばれている。果実は350g前後と大きく,大変着色がよい。果実全体に鮮明な縞状に着色する。果肉は多汁で緻密、硬く蜜がはいる。甘酸適和して食味は大変よい。2023年の栽培面積は341ha、産地は長野,山形,青森、熟期はふじより早いものも同じのものもある。
⑥宮美ふじ…青森県弘前市大沢の伊藤透氏が「長ふ系ふじ」から選抜した着色系枝変わり。果実は300〜350g程度で円から長円形,果皮は濃赤色で縞状にきれいに色づき蜜が入り甘みが強く、食味は大変優れている。2023年の栽培面積は344ha、産地は青森,長野、熟期は11月上旬。
⑦あいかの香り…長野県長野市の藤牧秀雄氏が「ふじ」の自然交雑実生から選抜した品種で、果実は400g~500gの長円形。糖度14度前後と高く、酸味は少なく、食味良好。蜜が入りやすい。2023年の栽培面積は9ha、熟期は11月上旬~11月下旬。
⑧コスモふじ…ふじの着色系枝変わり品種。果実は300〜350gほどで円から長円形、果皮は濃紅色,果肉はふじよりも硬くて蜜が入りやすく食味がよい。2023年の栽培面積は315ha、産地は青森、熟期は11月中旬。
⑨2001年…ふじの枝変わりとして発見され、着色が大変良く鮮明な縞状に果実の果底部まで着色する。2023年の栽培面積は110ha、熟期はふじより数日早く10月中旬頃から着色するが、11月上旬にならないと蜜入は少ない。
(20) 王 林
福島県伊達郡桑折町の大槻只之助氏が、ゴールデン・デリシャスにインドを交配して育成,27年に登録された。果実は230~320gで果皮は緑黄色、果肉は緻密で果汁が多く独特の芳香があり品質はよい、着色管理の省ける無袋栽培が可能なことと、味のよいことから増加していたが、近年は減少に転じた。2023年の栽培面積は2,520haでりんご全体の7.3%を占めて3番手となっている。収穫量は44,600tで収穫量構成比は、青森85.2%、そして山形,岩手,秋田,長野,福島…と続く。熟期は青森で11月上旬。
(21) ぐんま名月
群馬県農業技術センター中山間地園芸研究センターが昭和46年に、あかぎ×ふじの交雑組み合わせから選抜育成され1991年に品種登録された。果実は330g前後、黄色品種だが陽光面が淡紅色となる。果肉には蜜が多く入り多汁で甘みが強く芳香もあり、食味良好で無袋栽培が可能。群馬県では栽培面積が増加している。産地は青森,長野,群馬、熟期は10月下~11月上旬。
(22) こうとく 高徳
青森県南津軽郡柏木町の木村甚彌氏が1971年に東光の実生を育成、1985年に登録された。しかしDNA鑑定の結果、ふじ×ロム16{リチャードデリシャス×111号(国光×デリシャス)}の交配と訂正された。果実は220~300gと小玉,果皮は黄緑地に淡褐紅の縞が明瞭に入り、果皮にやや光沢がある。果肉は黄色,果汁が多く蜜が全体の7・8割を占め、甘く食味はよい。香りが高いので5mm位に薄くスライスをして皮ごと食べると味わいを堪能できる。小玉で蜜のばらつきが多かったことから消滅の危機にあったが、青森県津軽石川農業協同組合が品質管理を徹底して2007年に「こみつ」として商標登録をして、販路の拡大を図って見事に復活をした。産地は青森,山形、熟期は10月下~11月上旬。
(23) 金星
青森県弘前市の佐藤肇氏が昭和29年、ゴールデン・デリシャスに国光を交配して育成、47年に登録された。交雑和合性遺伝子を見ると国光ではなくデリシャス系品種(ゴールデン・デリシャス×デリシャス系)と考えられている。果実は300g前後,果皮は黄色に陽光面が淡紅に着色する。果肉はやや粗いが甘味が多く味は濃厚である。産地は青森,岩手、熟期は青森で11月上旬。
(24) はるか
岩手県盛岡市の岩手大学農学部で昭和52年にゴールデンデリシャスの自然交雑種子を播種して選抜、2002年に品種登録された。遺伝子分析の結果、花粉親はスターキングデリシャスと判明した。果実は円錐形で重さが230~300g程度と中ぐらい、果皮は黄色。当初は果実が小さく、高糖度・高蜜入りの割合が少なくて凍結などのリスクが大きい栽培が難しいりんごであったが、栽培方法の確立で、岩手県では2008年に冬恋の商標を出願した。純情はるか/糖度14度以上,冬恋/糖度14度以上で蜜入り2.5以上,プレミアム冬恋/糖度16度以上で蜜入り3.0以上に区分。これらの選果工程を経ていないものや、他地区産の果実ははるかとして市場に出回る。産地は岩手、熟期は11月上~下旬。
(25) その他 これまでの品種
①祝 American summer pearmain…アメリカから明治4年に輸入され、明治33年の大正天皇の御成婚を記念して「祝」と名付けられた。早生りんごの代表である。酸味が少なく果肉の繊維も多くないので、成熟期前から食べられる。産地は青森、熟期は7月。
②旭 Mcintosh Red…カナダが原産地で、わが国へは明治23年に輸入される。果肉は緻密で繊維が細かく、香りが高く風味がよい。7月下旬から人工着色(早目にもぎ取って日陰に並べ、水をかけて数日放置すると色付く)されて出回るが、とくに産地の北海道で10月ころ完熟させたものは最高の品質である。
*パソコンで有名なアップル社は、この品種にちなんでマッキントッシュMacintoshと名付け、略称はMacである。
③レッドゴールド…アメリカ,ワシントン州で、ゴールデン・デリシャスにリチャード・デリシャスを交配して育成、わが国へは青森県りんご試験場が昭和25年に導入した。果実は250g前後,果皮は暗紅色,果肉はややあらいが多汁で甘味濃厚、欠点として貯蔵力が弱くボケやすい。産地は北海道,青森、熟期は青森で10月上~中旬。
④あかね 茜…農林省果試盛岡支場が昭和14年、紅玉にウォセスター・ペアメン(イギリスの早生の優良品種)を交配して育成、45年に登録された。果実は250g前後,果皮は全面鮮紅色でよく色付き美しい。果肉は硬く果汁が多く芳香があるが、食味は淡泊である。産地は北海道,青森、熟期は青森で10月中~下旬。
(26) その他 新しい品種
①紅ロマン(高野1号)…岩手県奥州市江刺区の高野卓郎氏がシナノレッドの自然交雑実生の中から育成、選 抜,2011年に品種登録、紅ロマンで商標登録された。のちにもう片方の親が「さんさ」と判明した。果実は250~300gで果形は円錐形、果皮は濃紅色で不明瞭な縞模様を伴い高温下でも着色良好。糖度は12~14度で甘酸適和して食味良好。産地は岩手、熟期は8月下旬。
②ピンクレディー®…西オーストラリア州の州立試験場がレディーウイリアムスにゴールデンデリシャスを交配して育成、品種名は「クリプスピンク」,商標名が「ピンクレディー」です。現在オーストラリア,アメリカ,ニュージーランド,イタリア,フランス,チリ,南アフリカなど世界各国で栽培され、生産者は組織をつくり、苗木生産と商標使用に対し一定の使用料を支払うシステムになっている。果皮は全面明るい赤色で、熟期の11月末では酸味が強いが糖度も高いので濃厚な味がする。小玉で皮ごと丸かじりするには丁度食べやすく、日持ちがよく、酸味が抜けた1月以降に食べるとより食べやすい。産地は長野、熟期は12月から出回る。ニュージーランドからの輸入物が6~9月に出回る。
③シナノドルチェ…長野県果樹試験場で1983年にゴールデンデリシャスに千秋を交配、その実生中から選抜,育成され、2005年に品種登録された。当時の長野県知事田中康夫氏が名付け親で、長野県の信濃とイタリア語でスイーツを表すドルチェを組み合わせて付けられた。果実は300~400gと大きく赤くて明瞭な縞があり、果肉のきめはややあらいが硬く、甘酸のバランスが取れて香りがよい。産地は長野、熟期は9月中旬~下旬。
④秋陽しゅうよう…山形県農業総合研究センターが1991年、陽光に千秋を交配して育成、2008年に登録された。果実の大きさは350g前後でふじと同じ、果皮色は濃赤で、着色しやすい。甘酸があって歯ざわりがよく、濃厚な味わいが人気。産地は山形、熟期は9月下~10月上旬。
⑤もりのかがやき…昭和56年に農林水産省果樹試験場盛岡支場(現:農研機構果樹研究所リンゴ研究拠点)で、つがるにガラを交雑して得られた実生から選抜、2009年にもりのかがやきとして出願公表された。果実は370g位で果皮は黄色で果肉は歯ざわりがよく、多汁,糖度は16度で酸味が少なく食味は優れている。特長として結実がよく収量が多い、また、果実を切断しておいても果肉はあまり褐色化しない。産地は青森、熟期は10月中~下旬。
⑥千雪(あおり27)…青森県りんご試験場(現・地方独立行政法人青森県産業技術センターりんご研究所)が金星にマヘ7を交配して、その実生の中から選抜,2005年にあおり27として二次選抜され、青森県では2008年に、商標名を千ち雪ゆきとした。果実は300g程度で果皮は暗赤色、果肉はうすい黄白色で舌触りはややあらいが多汁で香気があり甘味が強く食味はよい。果肉をすり下ろしてもほとんど褐変しないことから、レストランでサラダやデザート,学校給食用のカットリンゴ,外食産業の真空パック,またすり下ろして病人や高齢者に、加工用としては添加物(酸化防止剤)なしのジュースやジャムなども利用できる。産地は青森、熟期は10月中旬。
⑦ハックナイン…北海道中央農試がふじにつがるを交配して育成、昭和61年にHAC-9(Hokkaido Appple Clone)として登録された。ところが、その後のDNA鑑定の結果、ふじ×不明(供試した137品種に該当する品種が存在しない)との結果が出ている。果実は着色がよく、多汁,甘酸適和している。当初は全国的に関心が強かったが、着色と日持ちに難点があり北海道以外での関心は薄れている。産地は北海道,青森、熟期は北海道では10月下旬。
⑧秋田紅あかり…秋田県果樹試験場(平鹿郡平鹿町)で、1996年に自然交雑実生の中から選抜、2001年に育成を完了したもので、王林と千秋の掛け合わせと思われる。鮮紅色の果皮に果点が浮かび上がる特徴的な外観で、糖度が比較的高く、酸味が少ないことから食味はよい。冷蔵で翌2月下旬まで貯蔵可能であり、産地は秋田、熟期は10月下~11月上旬。
