16.中国ナシ

 

(1) ヤーリー 鴨梨

 

   中国河北省定県が原産、華北を中心にすべての温帯地域で栽培され、わが国へは明治初年に勧業寮を通じて導入された。果実は320g前後,果皮は淡緑色で美しく、果肉は柔軟多汁で特有の香気がある。産地は岡山、熟期は10月上~中旬で、3月ころまで貯蔵が可能。

 

(2) ツーリー 慈梨

 

   正式名称はライヤンツーリーで、中国山東省ライ陽(ヤン)県が原産,わが国には明治45年(1912年)に農林省園芸試験場長の恩田鉄弥氏によって導入された。果実は400g以上で果肉は柔軟多汁,上品な甘味と芳香をもつ。熟期は10月下~11月上旬,西洋なしと同様に2~3週間の追熟を必要とする。

 

(3) 千両なし    身不知(みしらず)

 

 北海道独特の品種で明治の中頃、余市(よいち)で支那なしの偶発実生として発見された。大正11年に自分の樹をかえりみない位に実を付けることから、「身不知」と命名される。生産者にとっては、手が掛からずにたくさん成って、しかも果実が大きくなることから別名「千両なし」と呼ばれている。果実は350~400g,果肉はあらく品質は今一歩だが、歯ざわりがよく甘味も多い。産地は北海道で2018年の栽培面積は19.5ha(2019年は農水省でのデーターは中止)、熟期は10月下旬で、12月ころまで貯蔵が可能。