39. ギョウジャニンニク 行者忍辱

 

 ユリ科の宿根草でネギやニラの仲間、世界的にはカラフトや東シベリア,中国,朝鮮などに広く分布し、わが国では北海道,本州の中部以北の山地,林の中に生える。昔、修業中の行者が精力をつけるのに好んで食べたといわれ、名前が付いた。別名アイヌネギ,ヒトビロ,キトピロ。

 

 早春に長だ円形のスズランに似た大きな葉が2枚出て、初夏に白い花を咲かせる。若い葉と茎を食用とし、強いにんにく臭があり、焼肉やギョウザの具(生のまま冷凍してから使うと臭いがあまりしないと言う…),お浸し,和え物,酢の物,汁の実とする。強壮,整腸,鎮静,疲労回復などの薬効がある。地下の球根はらっきょうに似て生でみそを付けて食べるが、資源保護の上でも残したいものである。近年は少しずつ、栽培もされるようになったが、種子繁殖では収穫ができるまでに3~4年もかかるのが難点となっている。

 

選び方と保存  葉が伸びる前の若い葉と茎。保存はポリ袋に入れて冷蔵庫へ、長期保存はしょうゆ漬けにする。

旬  春。

 

行者ニンニクのしょうゆ漬け

 

 生のまま2~3cm前後の食べやすいサイズに切り、水分を拭き、ガラス瓶に入れ、しょうゆをかぶるくらい入れる。フタをして3カ月位の保存で食べられるが、カビが生えなければ何年でも大丈夫。餃子,ラーメン,チャーハンの具に入れたり、残ったしょうゆも捨てずに焼肉のタレなどに使う。すぐ食べたいときには、湯がいて漬けると2~3日後に美味しく食べられる。

 

有毒植物

 

 春は桜の開花とともに新緑の葉が茂り、山菜シーズンでもあり、行者ニンニクやニラと間違えて有毒植物を食べて亡くなる事例が毎年のように発生をしている。間違えやすいのは、行者ニンニクとイヌサフラン,ニラとスイセンであるが、他にもよく似た有毒植物があるので注意をしたいものである。