47. コウサイ    香菜(シャンツァイ) Coriaander パクチー

 

 地中海沿岸が原産でセリ科に属し、古代エジプトでは薬用とされ中国では欠かせない野菜のひとつで、別名コエンドロ,シャンサイ,中国パセリ,パクチー(タイ語)。種子はスパイスとしてヨーロッパでよく使われるコリアンダーである。これは葉の臭いがカメ虫(ギリシャ語のコリス)に似ていることからきている。わが国にも「延喜式」(927年)に記録がある。

 

 栽培には冷涼な気候を好む。外観はみつばにやや似て葉は切り込みが多く、茎葉を食べるが、その独特の強い香りは肉類のくさみを消すのに最適である。この臭いになれると好きになる。中国南部の湖南料理,ベトナム料理,タイ料理には欠かせない香味野菜として、炒め物,揚げ物,スープ,天ぷらなどに使う。1990年頃からのエスニック料理ブームもあって栽培が増えて、近年は買いやすくなってきた。2020年の収穫量は571t、構成比は、①福岡26.8%,②千葉23.3%,③茨城16.6%,④静岡14.9%、そして岡山,埼玉…と続く。(農水省地域特産野菜生産状況調査は2016年から開始)

 

選び方と保存  葉は切り込みが多く、香りの強いもの。保存はポリ袋に入れて冷蔵庫へ。

旬  秋から冬。

  

パクチーブーム

   バブル景気(1986年12~1991年2月)を背景にグルメブームが起こり、合わせて東南アジアへの旅行者の増加、若い女性のタイ料理人気によりエスニック料理ブームとなった。これとともにパクチーの名前が徐々に浸透、2016~17年にかけて、専門料理店が開店して話題となったり飲食店が相次いでパクチー料理をメニューに導入したり、パクチー風味のドレッシング,パスタソースなどの関連商品が続々と販売される、そして豊富な栄養素,デトックス効果などが注目されるようになって、市場流通も増加している。パクチーを身近な食材とする日本在住の外国人の存在も大きい。是非、このブームのあとに残ってほしいものです。

*2007年にオープンしたパクチーブームの火付け役であり、牽引役として人気を博したパクチー料理専門店「パクチーハウス東京」が、2018年3月10日に店を閉めました。アイデア満載のメニューと独自の店づくりで、国内外のファンから熱烈支持を受けた「パクチーハウス東京」のユニークなエピソードは、数知れません。