62. サンショウ 山椒

 

 日本原産で、山野にふつうにはえているミカン科の落葉小高木。古名をハジカミという。葉,果実,樹皮にテルペンの一種、フェランドレンとシトロネラール(レモンの香味を持つ)を含むほか、辛味の成分サンショオールが含まれる。こうしたことから香辛料として利用され、5月ころ黄緑色の小さい花をつけるが、これを「花ざんしょう」としてなすやインゲンなどの野菜とともに煮つけに、若い果実は「木の実(み)」、若葉は「木の芽(め)」といい、汁物,焼き物,刺身のツマなどに広く用いられる。また、6月ころの青い果実を「青ざんしょう」といいそのまま吸い口やあしらい,つくだ煮に、実ざんしょうがはじけたものを「割りざんしょう」、熟果の乾燥粉末は「粉ざんしょう」としてうなぎの蒲焼きに欠かせない。そのほか、葉と果実をつくだ煮にしたり、木の幹は固くすりこぎの最上の材料である。

   実ざんしょうは2021年で、栽培面積が304ヘクタール、収穫量が503.3トンとなっている。産地は、和歌山が56.3%,そして高知,兵庫,奈良,岐阜,京都…と続く。この中で加工用が64.7%を占めている。

 

 「山椒は小粒でもピリリと辛い」とは、小柄でも気がきいて役に立つということであるが、料理にはほんのわずかしか使わないが料理を生かすのがさんしょうである。漢方薬としても広く用いられ、健胃,興奮,駆虫,食欲増進,利尿剤として効果がある。 木の芽は自然の季節は4~5月だが、苗木を温床に密に植えこんで促成栽培をして、今では周年出荷されている。

 

選び方と保存  木の芽は新鮮で細かい葉が密生したもの、色の濃いものは固い。保存はポリ袋に入れて冷蔵庫へ。

旬  木の芽は4~5月。

 

アゲハチョウ

 

 サンショウを植えていると、アゲハの幼虫に食べ尽くされて丸裸になってしまうことがある。町の周辺に生息するアゲハ(ナミアゲハ),クロアゲハは、サンショウ,ゆず,レモン,八朔などミカン科の植物を食草とし、キアゲハはパセリ,ニンジン,ミツバなどセリ科の植物を食草とする。ちなみに、モンシロチョウはキャベツなどアブラナ科の植物を食草とする。

 

 産み付けられたタマゴは5~7日で孵化(ふか)し、1~4令へと脱皮を経た幼虫は鳥のフンのような外見で黒っぽい姿をしている。5令(終令)時にやっと、あの緑色の新幹線のようなイモムシの姿となり、その後サナギへと変化、羽化して羽ばたく。孵化から羽化するまでは、夏型の場合で1カ月ほどである。冬は蛹(さなぎ)の状態で越冬し、屋外に出しておいても寒さで死んでしまうことはない。