72. ショウガ  生姜    Ginger

 

 熱帯アジア(インド,マレー地方)原産の、ショウガ科の多年草。わが国へは、平安時代初期に中国から入ってきたとされ、ハジカミと呼ばれた。本格的な栽培が始まったのは、明治に入ってからである。

 

 しょうがは塊形を利用する高温性の作物で、発芽温度は18~20℃,生育適温は25~30℃である。栽培は4月に種しょうがを植え付け、6~8月ごろ新芽の下がやや肥大したみずみずしい白色からピンク色の新しょうが、それ以後の根しょうが、収穫後の種しょうがをとるヒネしょうが(古根(ふるね))、温床や穴蔵を利用して新しい芽が伸びてきたものを軟白してとる筆(ふで)しょうが、そして、筆しょうがより一回り大きい露地栽培の葉しょうががある。種類は次の通り。

①小しょうが…品種は金時,谷中で、筆しょうが,葉しょうがとして茎ごと甘酢につけて、焼魚や刺身の付け合わせにすると味を引立てる。また、みそをつけて食べる。

②中しょうが…品種は近江(おうみ),黄(き)(三州)で、生食用,漬物用として栽培が多い。このとき、種として植えたしょうがを、ヒネしょうが(古根)として、かつおの刺身や豆腐などに添える。香りがよく辛味が強いが、小さいため嫌われがちである。

③大しょうが…品種はインド,オタフクで、根しょうがとして、すしに添えるガリや紅しょうが,清涼飲料水の原料などに使われる。

 

 魚をよく食べる日本人にとって魚のくさみを消してくれるしょうがはなくてはならない香辛料で、辛味と香りが賞味される。この辛味と香りの成分は皮との境目にあるので、皮はむかないでおろす方がよく、そのときおろし金にアルミホイルをかぶせてその上からおろすと、きめ細かく目づまりもない。辛味の成分は結晶性のジンゲロンと、油状のショウガオールが主で、そのほか、芳香成分として精油が約2%含まれて、食欲を増進するとともに胃液の分泌を促して消化を助ける。漢方では、食欲不振,吐き気,頭痛,腹痛,ぜんそく,解毒,健胃などに効果がある。円高と輸送技術の発達によって輸入量が増えて、2003年では118,014tと全体の中では輸入が79.1%を占めていたが、2006年の残留農薬への規制・ポジティブリスト制度、2007年の12月下旬の中国製冷凍ギョーザの中毒事件を契機として減少していた。2022年で国内収穫量が46,200tに対して中国を主とした輸入(生鮮,酢調整品,塩蔵品)が78,683tと全体の中では63.0%となっている。中国産の生鮮品はもっぱら業務用に、食材のくさみ取りや下ごしらえに使われる。国産品は家庭で少量しか使わないので高くても使う傾向にあり、棲み分けが出来ている。国内産の構成比は、①高知41.0%,②熊本10.8%,③千葉10.4%、そして茨城,宮崎,鹿児島,静岡,長崎…と続く。

 

選び方と保存  しわがなくふっくらみずみずしいもの、細いものは筋ばっていることがある。保存はラップに包んで冷蔵庫、または冷凍して使う時におろす。

旬  5~8月。

 

ショウガ湯

 

 ショウガをおろして、大さじ半分くらいを湯飲み茶碗に入れて、そこにハチミツ大さじ1ぱいを加え、熱い白湯を注ぐ。血液の循環をよくして身体を温め発汗させる作用があるため、風邪や二日酔いには効果がある。

*生姜入り紅茶…生姜をすりおろしてガーゼでしょうが汁を紅茶に入れるだけ。入れすぎると辛い、蜂蜜を入れると美味しい。

 

ジンジャラー

 

 生姜=ジンジャーが大好きで、チュウブ入り生姜を持ち歩いてなんでも入れる人のことを言う。ブームのきっかけは、2007年6月販売の永谷園のカップスープ「冷え知らずさん」・生姜シリーズといわれている。生姜の辛味成分には血液の循環をスムーズにさせエネルギー消費量を高める効果があり体が芯から温まることから、とくに女性の冷え性対策として効果がある。生姜には、血行促進,発汗解熱,整腸,食欲増進などの効用、そして肉や魚のくさみを消す消臭作用もあるので、もっと日常の食事に積極的に生姜を取り入れたいものです。

*スライスの蜂蜜漬け、砂糖と煮詰めたジャム、生姜酒などは保存も利く。

 

大根生姜はちみつ

 

 風邪をひいた時、のどが痛い時にお薦めなおばあちゃんの知恵。大根を1~1.5cm角くらいのさいころ状に切り、生姜約50gはスライス(またはおろす)して保存容器に入れ、蜂蜜を8分目くらいまで回しかける。すぐに大根から水分が出てくるので、3~4時間くらい置けば出来上がり。エキスを大さじ2~3杯、お湯で割って好みでレモンを加える。

大根の消炎作用でのどに優しく、生姜の発汗作用で身体が温まり、レモンでビタミンCがとれ、蜂蜜は免疫力アップの効果がある。エキスは冷蔵庫で2週間くらいの保存が可能。