75. ズッキーニ   Zucchini

 

   メキシコが原産のウリ科,ズッキーニはイタリア名で、英名はサマースクワッシュ。ペポかぼちゃの仲間で、紀元前7世紀のメキシコの遺跡からも発見されて、ヨーロッパのとくに南フランスやイタリアで若どり果実専用種として改良されたもの。欧米では生産量が多く日常的な野菜として利用されている。わが国へは昭和52年に輸入されて、翌年には長野県で栽培が始まり今では各地で生産されている。果皮の色により緑色種と黄色種があり、ビタミンA,Cが豊富。生のままでは味も香りもなく、料理次第と応用の幅の広い素材である。肉や他の野菜と一緒に煮込んだり、サラダ,バター炒め,スープ,天ぷらなどに料理される。花が大きく、雄花は天ぷらや詰め物などに利用する。2020年の収穫量は11,300t、構成比は、①長野29.8%,②宮崎27.0%,③群馬11.2%、そして茨城,千葉,熊本,岩手,高知,新潟…と続く。

 

選び方と保存   皮にはりがあり柔らかく長さが20㎝位で直径3~4㎝が目安、太すぎるとかたく味が落ちる。保存はポリ袋に入れて冷蔵庫へ。

旬   夏。

定着したズッキーニ

 

   日本経済はバブル景気(1986年12~1991年2月)の中、1983年に連載が開始された『美味しんぼ』が火付け役となり、イタリア料理(イタ飯)が定着した。それまでのパスタやピザ,グラタンから、カラフルなサラダ,トマトをベースにした肉料理,煮込み野菜,魚介類を用いた料理などに広がった。このブームとともに香りと味はなく様々な料理に対応できることからズッキーニの認知度が高まった。ズッキーニの洋風豚巻き,ズッキーニとベーコンのイタリアン風炒め,ズッキーニのイタリアンマリネ…。1990年の栽培面積45ha,収穫量900 tから、2020年には栽培面積602ha,収穫量11,300 t と伸びている。

 

食中毒とズッキーニ  !

 

   2014年9月18日、岡山県内でズッキーニを食べた男女14人が下痢や腹痛の食中毒症状を訴えた。ズッキーニに含まれる苦味成分「ククルビタシン」が原因とみられ、いずれも一口食べて強い苦味を感じたと言う。ククルビタシンはきゅうり,南瓜,ヘチマ,夕顔,冬瓜,メロン,スイカなどのウリ科植物に広く含まれるが、通常は微量のため強い苦味を感じることはない。何らかの理由で含有量が多い例があり、見た目では異常が分からないので、料理する前にへたを少しなめて、明らかな苦味を感じたら食べるのを控えてほしい。しっかり加熱をしてもこの成分の有毒性は変わらない。同じウリ科のにがうりも苦味はあるが、「モモルデシン」という異なる成分で毒性はありません。