85. ゼンマイ    

 

 日本各地,台湾,中国大陸の、湿った山野にはえるシダ類ゼンマイ科の多年草。ぜんまいは、実葉(この若い茎を食用とする)が裸葉に先立って別に形成され、この実葉は胞子を飛散すれば枯れる。生育には、多少日陰か湿地を好むが、同じシダ類のわらびは、日当たりのよい乾燥気味なところを好み正反対である。葉柄の先端がくるくると渦巻きになっており、この形が丸い銭の形に似ていることから「銭巻(ぜにまき)」と呼ばれ、これがぜんまいの語源になっている。時計やおもちゃのぜんまいも、この葉に似ているので名付けられたもの。

 

 春に萌え出る綿毛に包まれた葉柄を、アク抜き(木灰かじゅうそうをまぶして水にさらす)して食用とする。保存には、ゆでて日に干したり、塩漬けにする。山野が開拓され、自然の状態では数が少なく、加えて採集の人件費が高く、現在売られているものは栽培物と中国産の乾燥物を水で戻した物がほとんどである。2020年のわが国の乾燥物の生産量が1.6t(愛媛,徳島,岩手,岐阜…)に対して、中国を主とした輸入物が51.8tと全体の97.0%を占めている。

 

選び方と保存  渦巻き状の若い茎。保存はゆでてアク抜きして、乾燥させる。

旬  春。