130. パセリ Parsley

 

   地中海沿岸の南イタリアやアルジェリアが原産で、セリ科に属する。原産地では渓谷の石ころの間に自生するので、石・Petroの間にはえるセロリSelinumと呼ばれた。わが国ヘは江戸時代にオランダ船によって移入されたことから、オランダゼリともいう。明治初年に再導入されている。

 

   冷涼な気候を好み適温は15~20℃、高温乾燥には弱く25℃以上になると品質が著しく低下する。わが国ではちりめん系がほとんどといってよいが、イタリアや南フランスでは平葉系の香りが強く野生的な風味が魅力のイタリアンパセリが主流であり、肥大した根を利用する根用系も多い。ちりめん系パセリのよい品質の条件は、葉の色が鮮緑で葉のきざみが小さくて多くその先端が内側に巻いており、しかも、葉全体が縮(ちぢ)んでいること。代表種は、葉が大形で良質多収なパラマウント。

 

   特有の芳香、ピネン,アピオールは、腸内の有害なバクテリアが繁殖するのを防ぐため、古代ギリシャやローマでは食中毒の予防に食べたといわれ、パセリに虫がつきづらいのもこのためである。ビタミンCが100g中200㎎と群を抜いて多く、ほかにビタミンA,カルシウム,鉄分に富む。濃い緑色が洋食や刺身の料理を美しく彩り、食欲を増加させる添え物として利用される。とくに、肉料理のあとには口中の油をさり、また、たまねぎ類の臭気を消す効果が大きい。料理には添え物のほか、かき揚げ,油炒め,サラダ,スープの実,みじん切りにしてひき肉料理にも入れる。

2020年の収穫量は2,780t、構成比は、①千葉42.1%,②長野24.1%,③静岡8.4%、そして熊本,香川,福岡,北海道,佐賀,愛知…と続く。

 

スカボロフェア Scarborough fair

 

 「スカボロフェア」(スカボロの市(いち),Scarborough Fair)はイギリスの伝統的バラードであり、サイモン&ガーファンクルの美しい歌声に乗って、世界中に知られるようになった。歌詞に「パセリ,セージ,ローズマリー,タイム」という4つのハーブが出てくるが、かつては病気や怪我から身を守ってくれるハーブ・薬草は、災難や悪霊からも守る力があると考えられていた。メロディはずっと変わらなかったようですが、歌詞のほうには様々なバリエーションがあり、サイモンたちが歌ったのは、19世紀にできたもの。ここでは旅人に以前の恋人への伝言を頼むという形を取っており、縫い目のないシャツを作ったり、それを乾いた井戸で洗い、イバラの上で乾かす、それをするだけの好意があるか、彼女に聞いてくれと唄う。旅人は、話にのってしまうと命をとられるので、関係のない薬草の名前「パセリ、セージ、ローズマリー、タイム」を唱えます。