158. マイタケ 舞茸

 

   ヨーロッパ,アメリカ,アジアの温帯以北に生える、サルノコシカケ科のきのこ。わが国では山奥のミズナラ,コナラ,シイなどの広葉樹の大木の根元に生え、マイタケの名前は、たくさんのかさが波打っている様子を人が舞う姿に似せたもの、またマイタケを見つけたときの喜びをうれしくて舞い踊るとも言われる。毎年秋になると同じ木にでるが秘密で、親子でも場所を教えないと言われる。1本の根から太い茎が多数分かれて先端にかさをつけ、直径30㎝ほどの株になる。人工栽培は昭和50年代の始めから行なわれ、今では栽培ものが主流となって周年出回っている。これはおがくずと米ぬかを混ぜて菌床を作り、種菌を接種して18~20℃で40~50日間培養すると菌床表面に菌糸塊が生じる。その後、16~18℃,湿度85~95%の発生室へ移して20~25日で収穫となる。「味の王様」といわれ大変美味で歯切れがよく独特の香りがある最高級の食用きのこで、バター炒め,茶碗蒸し,汁の実,煮物,きのこご飯などにおいしい。注意が必要なのは蛋白質分解酵素が含まれているので、茶わん蒸しに使うときには下ゆでしてから使わないと卵が固まらない。煮炊きすると黒っぽい色素がしみ出して、ダシが濁ってしまう欠点があるが、突然変異で生まれた白マイタケを使うと色素を含んでいないので料理の色が損なわれない。2022年の収穫量は56,709t、構成比は、①新潟64.6%,②静岡8.8%,③福岡6.7%、そして長野,北海道,群馬,埼玉…と続く。(シイタケのところにキノコの年間収穫量のグラフがあります)。

選び方と保存   カサに厚みがあり大きく開いてはりがあること、茎がしっかりして白いもの。保存は塩漬け,または乾燥させる。

旬   10~12月。

 

 マイタケとプロテアーゼ

 

マイタケにはプロテアーゼというンパク質分解酵素が含まれている。この酵素は肉のたんぱく質(アミノ酸が連なってできているので、そのつながりをところどころ切る作用がある)を柔らかくして、安くて硬い肉を高級肉に変身をさせる。その為には、マイタケをみじん切りにして酵素が表に出やすいようにして、広げた牛肉の上にのせて、冷蔵庫で2時間ほど寝かせるとよい。豚肉の場合は1時間でよい。熱には強く70℃でも酵素は働く。他にプロテアーゼを含む食材としては、玉ねぎ,生姜,パイナップル,キウイフルーツなどがあるが熱によってその働きを失ってしまうので、生のまま使用する必要があります。

 

ガン予防

 

 FDA米国食品医薬品局がガンを対象にしたマイタケの有効成分、Dフラクション(ベーターグルカンの中でもタンパク質が複合したもっとも効力のある多糖体成分)の新薬申請用の臨床試験を許可したことからマイタケの評価を決定づけた。1995年にはDフラクションが代替医療の専門家向けに、そして翌年には一般向けに販売が開始された。抗ウイルス作用と免疫強化作用があり、ガン細胞の増殖を止める。また、高血圧や高脂血症、糖尿病などの予防や進行を阻止する働きもある。