171. モヤシ  萌

 

   中国,インドネシア,ビルマなどで古くから食べられており、わが国でも平安時代前半に書かれた「本草和名」(918年)に記されている。江戸時代には各地で栽培されていたが、一般に普及するのは中華料理の広がりとともで、明治の末頃である。

 

   原料としては、中国産の緑豆(りょくとう)と、緑豆と近縁のタイ,ミャンマー特産のブラックマッペ(小豆に似た黒豆)で、ほかに大豆を用いる大豆もやし,欧米で人気の細く細(こま)かいアルファルファ(もともとは牧草の種子)のもやしがある。豆のときには、ビタミンB1やB2は多いがCは含まれていない、ところがもやしになると、100gに30mg,大豆もやしで25mgとかなり多く含まれるようになる。但し、水溶性なので長く水に浸しておくと溶け出てしまう。

 

   年間を通じて平均した需要があり、その生産も7日間程度の短期間で行なうことができる。作り方は、まず原料豆を水洗して水か温湯に浸す。20℃の水で5~6時間おくと原料の容積は2倍強になる、のち排水し暗くした発芽槽に移し、温度25~30℃,湿度90%以上に5時間保ち、25~27℃の温水を原料の約2倍注ぎ、20~30分後に排水し、以後5時間ごとにもやしができるまで温水を注ぎ排水する。出荷前には工場で水につけて洗っているので、自宅では洗わずそのまま食べられる。

選び方と保存   ひげ根がきれいで、全体にパリッとしているもの。保存は3~5℃が最適なので、野菜室よりも冷蔵庫に入れる。袋詰めされて流通する際に半真空の状態となっているので、つまようじで袋の真ん中あたりに1ケ所穴を開けて呼吸ができるようにすると、鮮度が伸びる。

旬   一年中。