186. レンコン 蓮根

 

   熱帯アジアおよび東アジアの温帯が原産で、スイレン科に属する多年生水草。はすの果実の形状が、アシナガバチの巣に似ているので蜂の巣がはちすとなり、さらにはすと省略された。そしてこの果実の名が後に、植物全体を指すようになった。

 

   わが国ヘは仏教とともに6世紀に中国から伝わったといわれるが、それ以前にも栽培されていたようである。ハスは仏(ほとけ)様が座る花,極楽浄土(ごくらくじょうど)に咲く花として定着し、花や葉はお盆に先祖の霊をなぐさめる精霊棚(しょうりょうだな)に供えられる。そして、水底の地下茎が養分を貯えて太くなったのがれんこんとして食用にされる。「常陸風土記」(713年)にすでに記録があり、食用にされていたと思われる。さらに明治初期に、中国から多肉な食用品種が導入され広く分布するようになった。春にハス田に種レンコンを植えて、伸びた新レンコンを秋に掘り出す。レンコンの表皮が赤いのは、葉から茎を通って酸素が送り込まれ、それが泥中のレンコンの表皮から放出されるときに、酸化鉄の赤錆(さび)色が残るからでこれが本来の姿である。見た目が悪いことから、白いレンコンを作るために地下のレンコンが肥大したときに地上部を刈り取って、地下への酸素の供給をストップさせる渋抜きという作業を行う。レンコンの穴の数は真ん中に1個,まわりに9個が普通で、この通気口は空中に出た葉とも連結して外の空気を根に送り込んでいる。

 

   「見通しがきくように」ということから、正月のお節料理には欠かせない。また、精進料理や甘酢につけて酢蓮(すばす)にする。切り口が黒ずんでくるのは、ポリフェノールという物質が空気に触れて酸化するためで、水か酸につけることで防げる。ゆでるときには1~2%の酢を入れると、アクがとれ白くゆであがる。栄養分はでん粉とビタミンC,カリウム,食物繊維が多い。

2022年の収穫量は56,200t、構成比は、①茨城50.2%,②佐賀13.0%,③徳島8.8%、そして愛知,山口,熊本,新潟…と続く。

選び方と保存   ふっくらと太く皮は淡黄色、まっ白なものは漂白されたもの。保存はポリ袋に入れて冷蔵庫へ。

旬   9~12月。