7.カリン  花梨

 

 中国が原産のバラ科、中国では2000年も前から薬用として用いられてきた。わが国には空海が苗を持ち帰ったといわれ、「借りん」に通じることから縁起を担いで庭木,盆栽として植えられる。長さ10㎝前後の倒卵形,1個約400g、果皮はなめらかで緑色から黄緑色、そして黄色に変わる。熟すると強い芳香を発し、表面がベトついた肌ざわりとなる。果実はかたく、酸味と渋味があって生食は出来ない。痰(たん)をとり、せき止めの効果があるため、のど飴や漢方薬,シロップ煮,砂糖漬け,果実酒などに使われる。香りを生かして、床の間,玄関の飾りものにもよい。

2021年の栽培面積は13.8a,収穫量は60.7t、収穫量構成比は、①香川32.6%,②千葉25.5%,③山形25.4%、そして奈良,神奈川…と続く。

選び方と保存  キズのないすべすべしたもの。保存は涼しい所へ、砂糖漬け,果実酒などに。

旬  10月に出回る。

 

カリンの加工

 

 カリンにはアミグダリンが含まれ、咳(せき)止め,のどの痛みによい。

①カリン酒 カリン…1kg,氷砂糖…400g~1kg,好みで加減、焼酎…1.8ℓ,アルコール分35%、 カリンは熟してくると表面にアブラが出てくるので、きれいに洗い水気をふき取る。包丁で約1 cmの厚さに輪切りにして種も一緒にビンに入れ、次に氷砂糖,焼酎を入れる。最初の1週間ほど は、カビ防止のためにも1日1回ほどビンを軽くゆする。6カ月くらいで実を引き上げて、1年 置くとすばらしい琥珀(こはく)色の果実酒の出来上がり。冷暗所で保存。

 

②ハチミツ漬け カリン…300g,ハチミツ1kg カリンはきれいに洗い水気をふき取り、包丁で約1cmの厚さに輪切りにして、種も薬効があるのでティーパックに詰め、一緒にビンに入れ、ハチミツを加えれば出来上がり。容器内でハチミツより浮き出た部分が変色し、カビが生えてしまう事も有るので、落し蓋をしておくとよい。室温だと発酵することもあるので果実から水分が出てきたら冷蔵庫へ入れる。あとは1~2カ月くらいで果実と種を取り除き、発酵しないように湯煎してからガーゼ等で濾して、ビンに詰めて出来上がり。冷蔵庫や冷暗所に保存。レモン汁を足して、お湯割りにするとおいしい。

 

③シロップ カリン…300g,砂糖…500g カリンはきれいに洗い水気をふき取り細かく切り、種は入れずに容器にカリン・砂糖と交互に入れる。カリンの隙間には出来るだけ砂糖を入れる。2~3日で砂糖が溶け始めてシロップが出る、1~2週間で砂糖が完全に溶けたら実を取り出して出来上がり。途中砂糖が下に溜まってしまうので、時々容器をゆするとよい。あとは冷暗所で保存。

 

④ジャム カリン…1kg,砂糖…500g カリンの皮をむいて、皮と種を適量の水で煮込み、皮と種は捨てる。その煮込み液に2mmスライスのカリンと砂糖を入れて、さらに煮込むと出来上がり。常温で長期保存する場合は脱気・殺菌する。