23. プルーン ヨーロッパスモモ

 

 カスピ海沿岸のコーカサス地方が原産で、紀元前にはヨーロッパ各地で栽培されていた。アメリカへは1856年に渡り、カリフォルニアで大規模な生産が始まり、乾果(プルーン)として世界のプルーンの実に70%を生産している。これは食物繊維をはじめ、鉄分,カルシウム,カリウムなどミネラルやビタミンが豊富に含まれ、貧血や便秘に効果がある。いまでは生食用のブループラムを含めてプルーンと呼ぶことが多い。

①乾果用(プルーン)…フレンチ,スタンレイ,ローブトサージュン

②生食用(ブループラム)…サンプルーン,シュガー,サンタス

 わが国へは明治初頭に導入されたが、高温多湿の気候が合わずに普及が遅れた。一大産地である長野県へは大正10年に導入されたが、本格的な栽培は米生産調整対策による水田減反政策によって産地が生まれた昭和40年代である。雨のため実割れしやすいが、糖度12~13度と甘く食味がよく果皮は紫色をしている。糖含量を見ると、プルーンはりんごやなしと比較して、果糖やショ糖はほぼ同じであるが、ブドウ糖が多く、ソルビトールは3~4倍含まれる。そのため、整腸や便秘に効果がある。

 

2021年の栽培面積は332ha,収穫量は1,717t、2021年の収穫量構成比は、①長野53.6%,②北海道35.6%、そして青森,山形,秋田…と続く。品種別栽培面積構成比は、①サンプルーン23.4%,②サンタス12.2%,③シュガー11.2%,④アーリーリバース7.1%、そしてくらしま,くらしまプルーン早生,グランドプライズ,スタンレイ,トレジディ,パープルアイ,プレジデント…と続く。5年前の2016年と比べたときに栽培面積は83.8%と減少、そのなかで増加しているのは,サンタス,アーリーリバース,くらしま,くらしまプルーン早生,オータムキュートぐらいである。この季節は売り場での人気フルーツが多い、8月はスイカ,モモ,ナシ、9月はナシ,リンゴ10月はミカン,カキ,リンゴといった中で補助的な商品となっている。商品的にも品種が多く、出回り期間が1週間サイクルで回っていくという売りづらさがある。

 

 

(1) サンタス

 

 ベルギーのスワーツ氏が育成し1996年に発表した。早生種の中では40~50g前後と大きく、果皮は黒紫色,果肉は黄褐色、糖度16度前後で果汁が多く適度な酸味のさわやかな味が魅力です。産地は長野,北海道、熟期は8月上~中旬。

(2) シュガー Sugar

 

 古くから日本にある代表的な品種で、果実は50~60g、果皮は紫紅色で果肉はオリーブ色、果肉は緻密で甘味が非常に強く酸味が少ないので食べやすい。産地は青森,北海道、熟期は9月上~中旬。

 

(3) サンプルーン SunPrume

 

 長野県佐久地方でシュガーの実生として発見された。果実は30~40gで、果皮は濃紫色で果肉は黄色、糖度が18~20度と甘くとてもおいしい。果皮表面に「シワ」がでてくると酸味が低下して食べやすくなる。産地は長野,北海道,青森、熟期は9月中~下旬。

 

(4) その他

 

①アーリーリバース…1820年代にイギリスのリバース氏が、プレコースドツールの実生から選抜して1834年発表した。果実は30g位と小玉で果皮は黒紫色、産地は長野、熟期は7月下旬。

 

②スタンレイ…ニューヨーク州立農業試験場で、エイジェンとグランド・デュークを交配・育成した品種。果実は40~50gの中果で果皮は鮮やかな濃紫色,果肉は淡黄色。糖度が15~18度と甘く,多汁、食味良好で日持ちもよい。産地は長野,青森、熟期は8月下~9月上旬。

 

③くらしま…長野市の倉島貞子氏がローブドサージェンとプレジデントを交配した実生から選抜,育成された。果実は50~70g位で果皮は黒紫色、糖度17度前後。裂果が少なく栽培しやすい特徴がある。産地は長野、熟期は9月上~中旬。

 

④グランドプライズ Grand Prize…果実は60~80g位と大玉で果皮は黒紫色、果肉は黄色。産地は長野、熟期は9月中旬。

 

⑤パープルアイ…果実は80g位と大玉で果皮は青紫色,果形は短楕円形、糖度は16~18度前後と食味がよい。産地は北海道,山形、熟期は9月中旬。

 

⑥プレジデント…アメリカ・カリフォルニア州のリベロ氏により発表された。果実は80~100g位と大玉で果皮は紫色、糖度22度前後と食味がよい。産地は山形,長野、熟期は9月下旬。