25. オクラ   Okra

 

   アフリカ原産でアオイ科の一年草、英名 okra の語源は西アフリカ・ガーナ地域の言葉,nkruma に由来する。最近の研究ではインド北部に野生種が見られることからインドが原産との説もある。和名はアメリカネリ。エジプトでは2000年以上も前に栽培されていたといわれ、熱帯,亜熱帯地方では重要な野菜である。わが国では「開拓使蔵版」(1873年)に記載があるので、江戸末期に渡来したと思われる。一般への普及は、昭和40年代後半から蛋白(たんぱく)質やビタミンBが豊富なことから見直され、保健野菜,スタミナ野菜として生産が増加している。

 

   生育適温は25~30℃と高温を好み夜間も14℃以下では生育が悪くなる、また光量の多い条件下を好む。連作をすると生育不良や土壌障害が多発する。黄色い花をつけ成育期間は60日と短く、開花後4~8日ぐらい,長さ7~10㎝になったころの若いさやを食べる。また、完熟した種子はコーヒーの代用にもなる。品種はさやの形によって五角や多角,丸さやなどがあり、果皮の色も赤紫色,クリーム色などがある。栽培の多いのは果実の断面が五角形のアーリーファイブ,ベターファイブ,グリーンスター,三郷,東京五角,大和グリーンなど、多角種ではクリムソンスパイレスなど。なお、沖縄では繊維が少なく舌触りのまろやかな丸さやが中心である。

 

   若いさやにはベクチン,ガラクタン,アラバンなどが含まれ、粘液質で独特の味があり、スープ,シチュー,油炒め,酢の物,生のまま刻んでサラダやかつお節としょうゆをかけて食べる。2020年の収穫量は12,000t、構成比は、①鹿児島43.4%,②高知17.1%,③沖縄8.8%、そして熊本,福岡,香川,宮崎,愛知,徳島,群馬…と続く。

 

選び方と保存   濃い緑、そして切り口の新しいもの。保存はポリ袋に入れて冷蔵庫へ。

旬   7~9月。

 

花オクラ

 

   中国原産でアオイ科の一年草、別名トロロアオイ。オクラと同じ仲間だが、原産地が違う別種。普通のオクラは実を食べて花は食べないが、ハナオクラは大きなものだと直径20㎝にもなる花を食べて、実は固いため食用にはならない。花にはオクラの香りと粘りがあり、食感と彩りが楽しいエディブルフラワーである。ただ花はすぐに傷んでしまうので、市場にはほとんど流通しない家庭菜園向きの野菜である。食べ方は、花びらを刻んでサラダにしたり、湯がいて三杯酢などで酢の物,花びらで生ハムをくるんだり、天ぷら,コンソメスープの具とする。熟期は7~10月。

 

野菜(ベジ)ブーケ

 

   食卓や結婚式を彩るブーケ、これを鮮やかな採れたての野菜でつくるのが「ベジブーケ」で、ギフトとしても注目を浴びている。今までの食べる対象から見て楽しむ対象へ、生命力に溢れた自然の美しさ,形,色を楽しんだあとは、舌で味わう。最近、結婚式で新婦が投げるブーケトスの新郎版として、小さな房が沢山集まったブロッコリーに子孫繁栄の願いを重ねてブロッコリーを真ん中に作ったブーケを独身男性に向けて投げる結婚式場も増えている。