103. トウガラシ 唐辛子   

 

   熱帯アメリカが原産のナス科、メキシコ中部にあるラワカン遺跡(紀元前6500~5000年)から出土していることから、この地域が原産地とされる。コロンブスが1493年にスペインに持ち帰りヨーロッパに広まった。わが国へは15世紀末にいろいろな経過(ポルトガル人が1542年にもたらした,秀吉が朝鮮出兵1592~98年の際に持ち帰った,慶長年間に南蛮より入った…)で渡来し、唐のからしと名がついた。大きく分けると「鷹(たか)の爪(つめ)」に代表される辛味種(いわゆるとうがらし),ピーマンに代表される甘味種,そして観賞用種である。栽培は高温と乾燥を好み、20℃以上の気温を必要とする。未熟な葉と果実は葉とうがらしとしてつくだ煮とし、濃緑色の実は青トウガラシ,略してアオトウといわれる。串焼き,鉄板焼き,漬物などに、あらかじめ串で表面に穴をあけておくと加熱によって破裂することがない。実が熟して赤くなりこれを乾燥させた果実は赤とうがらしとして、防腐剤をかね漬物の香味料や七味とうがらし,うどんやそばの薬味に用いる。種類は次の通り。①辛味種…日光,伏見辛。②甘味種…獅子唐,伏見甘。③乾果種…八房,鷹(たか)の爪。④ピーマン…カリフォルニア・ワンダー,さつき。⑤観賞用種…五色唐辛子。

 

 辛味の成分はカプサイシンの働きで、実のワタの部分に多く含まれているのでこの部分を除いて使うと辛味がやわらぎ、辛味,苦味,香りのバランスがとれる。このカプサイシンは胃液の分泌を促進して食欲増進に効果があり、ほかにも脂肪の燃焼を助けたり、抹消神経が刺激され、皮膚粘膜の充血を促すので冷え性にも効く。2020年の収穫量は384t、構成比は、①千葉30.5%, ②京都21.6%,③大分9.9%、そして福岡,栃木,東京,沖縄…と続く。このうちの60%が乾燥等の加工用途である。

 

選び方と保存 青とうがらしは緑が濃く、はりのあるもの。ヘタが腐れしなびやすいので注意。保存はポリ袋に入れて冷蔵庫へ。赤とうがらしは乾いて光沢のあるもの。保存は網袋に入れて冷暗所へ。

旬  青とうがらしは夏、赤とうがらしは秋。


                          青とうがらしと赤とうがらし