114. ナノハナ  菜の花

 

   ヨーロッパが原産のアブラナ科の野菜で、菜の花,ナタネとも呼ばれ種子は食用油を絞る原料となる。わが国へは古く弥生時代(紀元前3~紀元3世紀)ころに中国,朝鮮半島を経て渡来したといわれ、「古事記」(712年)に記載がある。江戸時代初期から明治のはじめまでは灯火に菜種油が使われ、また食用油として必需品であり、絞りかすは貴重な肥料となっていた。長野県の国文学者、高野辰之(1876~1947年)は北信濃の春の田園風景を織り込んで作詞した「おぼろ月夜」・菜の花畑に入日薄れ、見渡す山の端(は)霞(かすみ)深し…,と歌われるほど一般的な植物であった。春先に花らいを含め7㎝くらいに切りそろえ、束ねて春を告げる旬野菜として利用される。

 従来のつぼみと茎を利用する「なばな」タイプの2020年の収穫量は4,030t、構成比は、①千葉42.2%,②徳島15.0%,③香川12.0%、そして大阪,高知,京都,滋賀,茨城…と続く。近年は葉の部分を利用する形態も増え産地によってかき菜,つぼみ菜,おいしい菜などの名前が付いている。これの2020年の収穫量は1,440t、構成比は、①三重29.0%,②東京16.5%,③新潟10.4%、そして熊本,福岡,栃木,神奈川…と続く。 

   ビタミンA,C,カロテンが多い緑黄色野菜であり、健康志向を反映して消費も伸びつつある。料理には、辛子和え,胡麻和え,お浸し,炒め物とする。

 

選び方と保存   つぼみが開いていないもの。保存はポリ袋に入れて冷蔵庫へ。

旬   2~3月。