139. ヒラタケ   平茸

 

   キシメジ科のきのこで、天然ものは秋おそく、広葉樹の枯木,倒木,切り株に群生する。かさはゆがんだ円形,又は半円形で、小さいときはかさが黒っぽいが、5~10㎝と大きくなると灰褐色となる。根元は5~10本ほどくっついている。シイタケなどと同じ腐朽菌のため栽培が容易で、色,形ともほんしめじに似ている。外国ではオイスターマッシュルーム、わが国では以前はシメジの名前で出回っていたが、今は正式名称のヒラタケとなっている。

 

   栽培には適温を保つと40~50日で大きくなる。まず、広葉樹のオガクズと米ぬかをまぜて適量の水を注ぎ、木箱に入れて殺菌する。その後、種菌を植えつけて16~18℃,湿度75~95%の培養室で25日間培養し、きのこを一斉に発生させるために表面の老化した菌糸をとり除く菌かきをする。その後室温14~15℃,湿度90%の生育室で約2週間置くと収穫となる。

   本格的な生産は昭和49年から、収穫量は1990年の年間33,475tをさかいに減少して、2022年の収穫量は4,481t、構成比は、①新潟42.4%,②福岡24.6%,③長野15.6%、そして茨城,三重,山梨…と続く。(シイタケのところにキノコの年間収穫量のグラフがあります)。

   種類は次の通り。

①普通のかさが灰色のもの。

②タモギタケ(ゴールデンシメジ)…野生では、東北,北海道でタモ類の樹木によく発生する。かさの色が鮮やかな黄褐色で美しい、上品な味と香りでシチュー,すまし汁,天ぷらなどとする。抗がん作用を有するベーターグルカンが多く含まれていることから注目されている。2022年の収穫量は289tで、北海道が主産地となっている。

③ホワイトシメジ…ヒラタケの改良種で、かさの色が白色。

 

選び方と保存   かさの直径1~3㎝前後で軸のしっかりしたもの、日が経つとトロケが出たり茶色に変色する。保存は冷蔵庫へ。

旬   秋。

 

しめじ

 

   マツタケ科のきのこで、多数群生し地面を占領するので占地(しめじ)だともいわれている。秋、おもに低山の雑木林内の地上に発生し、かさは2~8㎝,ねずみ色または淡かっ色で、ひだは白色で密生している。しめじは菌根菌なので栽培はむずかしく、現在しめじの名で売られているのはヒラタケである。群生の仕方によって2種類に分かれる。

①小型きのこが多数密生するのをしゃかしめじ,せんぼんしめじ。

②同じくひとつの株に群生するが、1本ずつ取り離すことができ茎が大きいのを、本しめじ,だいこくしめじという。

 

   昔から「香りまつたけ,味しめじ」といわれ、味はすぐれているが香りは少ない。日本料理ではうま味を生かして、吸い物,汁の実,炊き込みご飯,鍋物などに利用される。水分が90%で栄養分はあまりないが、ビタミンB2,ニコチン酸がやや多く、Cも少量含まれている。