136. ビーツ Beets

 

   地中海沿岸が原産のアカザ科、ヨーロッパではギリシャ,ローマ時代から食用にされており、わが国へは江戸時代に渡来したがあまり栽培されていない。別名火焔菜(かえんさい),食用ビート。ほうれん草,甜菜(てんさい)(ビート),フダンソウと同じ仲間で、外観は赤かぶに似ているが、茎から株の中心まで鮮やかな赤色で、切ると同心円状に輪紋がある。独特の歯ざわりで、使う時は皮ごとゆでると、色素がとけださず色よく仕上がるので、その後皮をむく。ロシア料理のボルシチに欠かせないもので、ほかにサラダやシチュー,酢漬けにする。

 

選び方と保存   さわってしなびがないもの。保存はポリ袋に入れて冷蔵庫へ。

旬   秋から冬。

 

砂糖消費量の減少

 

 砂糖の消費量のピークは昭和48年(1973)で1人当たり年間消費量が29kg強あったが、その後の異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)の出現によって、また、健康維持やダイエットのため砂糖の摂取を控える人が増えて、2022年*では14.5kgまで減っている。2022年*のデーターでは、生産量の7.7%が国内甘藷かんしょ糖(沖縄のサトウキビ),32.1%が国内てん菜糖(北海道のサトウキビ),残りの60.2%が粗糖輸入(オーストラリアが90.8%)となっている。国産糖は原料コストが海外より高いので、安い輸入に調整金を上乗せして、国内品はその分だけ低くなるように安定供給の取り組みを行っている。ちなみに、ショ糖含有率はさとうきびで14~19%,サトウキビで10~16%です。

*1)砂糖の年度は2020.10月~翌年の9月30日までの期間をいう。

 

 さとうきびは、沖縄県や鹿児島県南西諸島の島々で栽培され、台風の被害に強く台風の常襲地帯である島々の農家にとって重要な基幹作物です。広大な200海里水域を形成し、人々が暮らし、砂糖産業が成り立っているからこそ国土が守られている。また、北海道で栽培されるてん菜は、小麦,じゃがいも,豆類とともに連作障害を防ぐ輪作作物で欠くことができない重要な作物です。私たちがお砂糖を買うと、まわりまわって沖縄のさとうきび畑や北海道のてん菜畑が守られることになるのです。(日本の砂糖を支える仕組み/農畜産業振興機構)

 

*サトウキビは皮をむいて口に入れて噛(か)みしめると甘い汁が口の中に広がる、甘みがなくなったら繊維質の部分は食べずに捨てる。てん菜(サトウキビ)は、根を生で食べると甘く口当たりはよいが、あくが強く不快な後味が残る。葉もおなじで食用にはならない。


 

異性化糖

 

 砂糖の主成分であるショ糖はブドウ糖と果糖が結合してできたもので、その甘さは砂糖を100とすると、ブドウ糖は70程度,果糖は170程度となっている。そこで甘みを増すために、ブドウ糖を果糖に変える(この処理を異性化という)。異性化糖の原料はトウモロコシ,さつまいも,じゃがいもで、それらのでんぷんに水とα-アミラーゼという酵素を加えて加熱したあと、グルコアミラーゼという酵素の力でぶどう糖の液を作る。そして、そのぶどう糖の液とグルコースイソメラーゼという酵素を反応させると、ブドウ糖果糖液糖ができあがる。果糖が50%未満のものは「ブドウ糖果糖液糖」、50%以上90%未満のものは「果糖ブドウ糖液糖」、90%以上のものは「高果糖液糖」と呼ばれる。果糖は40℃以下で砂糖より甘くなるので清涼飲料水によく使われる。