145. ブナシメジ

 

   日本が原産のキシメジ科のきのこ。かさは直径1㎝位で茶褐色,表面に濃い大理石模様があるのが特長、軸は白く短く根元近くが太くなる。香りはあまりないが味,歯ざわりがよく、ダシもよく出て煮くずれしない特長がある。昭和43年に宝酒造(株)が原種菌を開発し、昭和53年に長野経済連が栽培特許権を得て生産に入ったもので、長野県がナンバーワンであったが、今は特許権が切れて他産地の進出が相次ぐとともに、収穫量でもエノキタケに次いで2番手となっている。

 

   栽培には適温を保つと90~100日で大きくなる。まず、培地として広葉樹のオガクズやコーンコブ(トウモロコシ穂軸の粉砕物)と栄養源として米ぬか,ふすま,乾燥おからをまぜて適量の水を注ぎ、ビニール袋に2~3kgを入れて98℃,4時間の殺菌をする、その後、種菌を植えつけて22℃,湿度60%の培養室で70日間培養し、きのこをいっせいに発生させるために表面の老化した菌糸をとり除く、菌かきをする。その後室温15℃,湿度95%の生育室で約20日間置くと収穫となる。きのこはパックの中でも生きており、輸送中の温度変化や時間が経つとともに気中菌糸といわれる白いカビ状のものが出てくる。洗えばすぐ落ちて無害であるが売り物にはならず注意したい。2022年の収穫量は122,161t、構成比は、①長野42.1%,②新潟17.6%,③福岡12.3%、そして茨城,静岡,宮城,長崎,高知…と続く。(シイタケのところにキノコの年間収穫量のグラフがあります)。

*オガクズは国産材だけでは不足のために、コーンコブ(トウモロコシの穂軸の粉砕物),コットンハル(わたの実から綿毛(わたげ)を取ったのが綿実(めんじつ)で、このときに挽き割った後に残る殻) などを輸入または再利用している。

*綿実(めんじつ)とはわたの実から綿毛(わたげ)を取ったタネの部分をいう。これを絞ったのが綿実油(めんじつゆ)で、てんぷら油,サラダ油,マヨネーズ,ドレッシング,マーガリン,マグロ油漬け缶詰の原料となる。

 

選び方と保存   かさは小さく軸は短く太いもの、日が経つとトロケが出てくる。保存はビニール袋に入れて冷蔵庫へ。

旬   10~12月。

 

ホンシメジ

 

 キシメジ科のきのこで、ホンシメジは広葉樹のコナラやマツの生きている木の根について菌根を作り、地面に生えるきのこで、菌根を作るきのこはしいたけのように栽培は出来ない。「香りまつたけ、味しめじ」と言われるのもこのホンシメジで、ひとつの株状に生えるがその1本ずつがバラバラになり軸の中程がふくらんでいることから、ダイコクシメジの別名がある。同じ仲間にシャカシメジがあり、別名センボンシメジと言われるように小型のきのこが多数密生する。天然物だけに、ごく一部が出回る程度。

 

腐朽菌と菌根菌

 

 森林の地面から生えているきのこは、次のように分かれる。

①腐朽菌…木質化した植物の細胞や組織に生えて、これをくさらせて栄養を摂取するもので、シイタケ,ナメコ,エノキタケ,ヒラタケなどで人工栽培が可能。

②菌根菌…生きている木の根について菌根を作っているもので、マツタケ,シメジなどで人工栽培は難しい。