148. プンタレッラ

 

   イタリアが原産のキク科。地中海地方に広く野生化しているが、よく食べるのはローマ近郊だけという。イタリア語の「プンターレ」とはとがったとか、刺(とげ)のあるという意味で、葉先の尖っているところから名前が付いた。季節になると市場や八百屋には山積みとなり利用される。この野菜はサラダ専用で、アンチョビを加えてオリーブ油を使ったドレッシングが一番よく合う。葉も茎も食べるが、そのままではほろ苦く青くさいがアンチョビサラダにすると歯ごたえ、風味が格別においしくなる。葉っぱを除いた茎の根の部分は固いので皮をむく、茎の中は空洞なので細く裂いて、氷水にさらしてパリパリの状態にして使う。

 

選び方と保存    葉先のとがった新鮮なもの。保存はポリ袋に入れて冷蔵庫へ。

旬   11月から春。

 

スローフード

 

   1986年5月にイタリアのローマで起きたマクドナルド1号店の出店反対運動を発端として、「いつでもどこでも同じ味を提供する」というファーストフードに対して、「消えゆくおそれのある伝統的な食材や料理等、多様な食文化を守ろう」という動きがイタリア北部のブラという町から始まった。これが1989年のスローフード協会の発足となり、活動の指針として次の3つをあげている。①消えつつある郷土料理や質の高い小生産の食品を守ること。②質の高い素材を提供してくれる小生産者を守っていくこと。③子供たちを含めた消費者全体に味の教育を進めていくこと。

 

   日本で広がり始めたのは2000年ころからで、同じ様な考え方として次の4つをあげる。①地産地消(ちさんちしょう)…地域で生産された食べ物を地域で消費すること。特長は地元の生産者が作った農産物で信頼感があること、新鮮で完熟の状態で提供できること、輸送コストや包装経費などの流通コストの削減ができること。これをさらに進めたのが、レストランにショーケース型のミニ植物工場を併設して、店で作ったものを採りたてで食べてもらう「店産店消」である。②身土不二(しんどふじ)…体と土は一体であり人は生まれ育った土地のものを食べるのが体にいちばんよい。③医食同源(いしょくどうげん)…病気をなおすのも食事をするのも健康を保つためでその本質は同じこと、食事を取ることで病気になりづらい健康体を手に入れるという考え方。④産消提携(さんしょうていけい)…農家と消費者が契約して生産した農産物を買い取る。

 

 フードマイレージ Food mileageと地産地消

 

 英国の消費者運動家ティム・ラング氏が1994年から提唱している概念(フードマイル)で、日本では、農林水産省農林水産政策研究所によって2001年に導入された。フードマイレージ=輸入相手国からの輸入量×距離(国内輸送を含まずまた、空輸と船便の差も考慮していない)で、この値が大きいほど地球環境への負荷が大きいという考え方。2001年では人口1人当たりのフードマイレージは日本が7,093tkm(トンキロ)であるのに対し、韓国は6,637tkm、イギリスは3,195tkm、ドイツは2,090tkm、フランスは1,738tkm、アメリカは1,051tkmと、世界各地からの輸入食材に依存している日本は高い数値を示している。こうしたことから、地産地消(生産地と消費地が近いこと)がフードマイレージは小さくなり、エネルギーコストを低く抑えることができる。身近なところでは生産者の顔も見え、食の安心・安全でも大きな意味がある。自分の健康,家族の健康を守り、ひいては農業復興,国土の緑化,自然環境を守ることにもつながっていく。

 

 食育

 

 2005年6月に「食育基本法」が制定された。食育とは、すべての国民が生涯を通じた健全な食生活の実現、食文化の継承、健康の確保等が図れるように自らの「食」について考える習慣や「食」に関する様々な知識と「食」を選択する判断力を楽しく身に付けるための学習等の取組みを指す。

直面するさまざまな課題、①女性の社会進出により家事にさく時間の減少、②不規則な食事、③家族の団欒(だんらん)が減り個食(*1),孤食(*2),固食(*3)が増加、④食生活を営む基礎的な知識や技能が低下、⑤調理用語や伝統的な食に関する知識などを知らない、⑥冷凍食品、レトルト食品などの普及や中食(なかしょく)と呼ばれる持ち帰り惣菜店の増加、⑦栄養の偏(かたよ)り、⑧肥満や生活習慣病の増加、⑨増大する医療費の抑制、⑩BSEや食品の表示といった食の安心・安全、⑪40%という低い食料自給率の向上…これらについて考え、健全な食生活を実現するために「食育」が必要となった。

 

*1,個食…家族それぞれが別のものを食べる、もしくはそれぞれの部屋で食べる。

*2,孤食…1人で食事をする、特に子どものみで食事する。

*3,固食…同じものばかりを食べ続ける。

 

ファーストフード fast food

 

 「fast(速い) food」で、「注文してすぐに食べられ、持ち帰ることが可能な食品」である。主なものには、ハンバーガー,ホットドッグ,ドーナツ,フライドチキン,ピザパイ,クレープから日本式の天丼,牛丼,うな丼,回転寿司,駅の立ち食いそばまで広義に使われる。広まったのは食生活の簡素化,共稼ぎ世帯の増加,生活の多忙化,レジャーブームなどにより,手軽に安く早く食べられることがあげられ、世界各国の若者に受け入れられる。最近は高カロリー,高脂肪,栄養素の偏(かたよ)りが問題となり、生活習慣病の要因を沢山取り揃えている。

 

ハンバーガー 

 

 起源は13世紀頃、モンゴル系の部族であるタタール人が硬い肉を鞍(くら)の下に置き、自分の体重をかけることで柔らかくして料理をした。それをドイツ、Hamburg=ハンブルクの商人が航海に出るときに利用して、鉄板や網焼きで調理して食べたことから「ハンブルグステーキ」と名前がついた。そして、19世紀末期にこのハンバーグがアメリカに伝わり、1904年のセントルイス世界博覧会で食べやすいようにパンにはさんで売り出された。1920年代、アメリカを横断するルート66などのハイウェイが本格的に整備され始め、このときドライバーのために道沿いに食堂ができ、そこで時間を無駄にせず、しかも栄養価の高い食事として出されたのがハンバーガーだった。

 

 1921年にカンザスシティーでホワイトキャッスル・ハンバーガー・チェーンが開店。1948年にマクドナルド兄弟がロサンゼルス近郊でミルクセーキの店を、そして、イリノイ州オークブルックにハンバーガー専門店を開店。1955年にマクドナルドの創始者レイ・クロックがこの事業を買い取り、イリノイ州のデス・プレーンズに元の名前のままハンバーガーチェーン店、マクドナルド第1号店を開店させる。わが国へは1971年にマクドナルドの1号店が東京・銀座にオープン、今では約120カ国,3万店以上を展開している。

 

  ロハス LOHAS

 

 ロハス(Lifestyles Of Health And Sustinability(サステナビリティ))とは、「健康と持続(サステ)可能性(ナビリティ)を重視するライフスタイル」を意味する。これはアメリカやヨーロッパで1960年代以降、大量生産・大量消費への反発から誕生したとみられ、地球環境保護と健康な生活を最優先し、人類と地球が共栄共存できる持続可能なライフスタイルとそれを望む人たちの総称。2000年に社会学者ポール・レイ氏と心理学者のシェリー・アンダーソン氏がロハスの存在を報告、全米の成人人口の少なくとも26%にあたる約5000万人,欧州連合(EU)諸国内の成人人口の約35%にあたる約8000万~9000万人がロハスを志向しており、今後のビジネスや政治のあり方まで変える可能性を秘めた存在として注目されている。これは次のように分類される。

① Sustainable(サステナビリティ) economy(エコノミー)(持続可能な経済)…再生エネルギー&代替エネルギー,省エネ商品,グリーンな都市計画&交通手段,社会的責任投資

② Healthy(ヘルシー) Lifestyle(ライフスタイル)(健康的なライフスタイル)…オーガニック&自然食品,サプリメント,ナチュラルなパーソナルケア商品

③ Alternative(オルタナティブ) Healthcare(ヘルスケア)(代替ヘルスケア)…自然治療,はり治療,ホメオパシー,ホリスティックな疾病予防

④ Personal(パーソナル) Development(ディベロップメント)(自己開発)…ヨガ,フィットネス,能力開発や精神性の向上のためのセミナー,教材

⑤ Ecological(エコロジカル) Lifestyle(ライフスタイル)…環境に配慮した家やインテリア,家庭用品,エコツーリズム,ライフスタイル

 

 

SDGs エス・ディ・ジーズとは

 

 Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称。SDGsは2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標であり、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。

1.貧困をなくそう  2.飢餓をゼロに  3.すべての人に健康と福祉を  4.質の高い教育をみんなに  5.ジェンダー平等を達成しょう  6.安全な水とトイレを世界中に  7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに  8.働きがいも経済成長も  9.産業と技術革新の基盤をつくろう  10.人や国の不平等をなくそう  11.住み続けられるまちづくりを  12.つくる責任 つかう責任  13.気候変動に具体的な対策を  14.海の豊かさを守ろう  15.陸の豊かさも守ろう  16.平和と公正をすべての人に  17.パートナーシップで目標を達成しよう