178. ユリネ   百合根

 

   東南アジアが原産でユリ科、コオニユリ,ヤマユリ,オニユリなど、苦みが少なく鱗片が大きい品種の根を食用とするもので、このゆりの球根を食べる習慣は、わが国と中国,モンゴルくらいなもので西洋にはない。これは、西洋のゆりの球根は苦みが強いためである。純白のゆりの花は純潔のシンボルとされ、キリスト教に結びついて聖母にささげられる花となっている。わが国もかつて(明治から第2次世界大戦直前)は、このキリスト教の復活祭,イースターデーに用いられる白花のテッポウユリの球根の産地として知られ、輸出された。

 

   本州の産地がウイルスでやられ、2020年の収穫量は1,050t,全て北海道である。品種はコオニユリの系統の白銀,夕映が中心、栽培には植え付けから収穫まで3年間かかり、自然のままでは8月に花が咲くが、ゆり根をとるためには7月につぼみを摘みとってしまう。

9月に収穫,出荷されるが、2020年度の東京都中央卸売市場への入荷量を見ると年間の91%が10~12月で占めている。

需要は関東より関西に圧倒的に多く、高級料亭になくてはならない素材となっている。料理には底の芯のまわりを包丁の先でえぐり取って、外側のりん片を一枚ずつはがしていく。煮るときは酢を加えた湯でゆでると白くあがる、うま煮,茶碗蒸し,天ぷら,おでん,鍋物などに利用される。

選び方と保存   りん片が大きく白く、さびと呼ばれる赤い変色のないもの。保存は湿ったおがくずの中か、冷暗所へ。

旬   9~12月。